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【絵で分かるキーワード】Ogg Vorbis(おっぐぼるびす)

【絵で分かるキーワード】Ogg Vorbis(おっぐぼるびす)

2003年06月16日 01時46分更新

文● 本田 雅一

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●【Ogg Vorbisの仕組み】 Ogg Vorbis:オープンソースで提供されるライセンスフリーの高圧縮オーディオフォーマット

 Ogg Vorbisとは、おなじみのMP3やWMA、AACなどと同様のオーディオ圧縮フォーマットの一種で、非営利団体のXiph.Org Foundationから、2002年7月20日に1.0がリリースされた。MP3やWMAが普及した現状で、なぜOgg Vorbisが注目されるのだろうか? 背景にはMP3のライセンス問題がある。

 MP3はISO国際標準であるMPEG-1に組み込まれた音声圧縮フォーマット。ISOはMPEG-1のリリースにあたり、その機能を実装したプログラムのソースコードを一般に無償公開したが、この中にMPEG Audio Layer-III(MP3)も含まれていた。MP3が普及した背景には、このソースコードを入手したプログラマが、独自あるいはISOコードの改良などを行って高性能のMP3圧縮プログラムを開発、それをさらにCDリッパーソフトに統合するなど様々な形で普及させ、さらには市販ソフトにも幅広く採用が進んだからである。ソースコードや仕様が完全に公開されていたが故の爆発的な普及速度だった。ところが、すでにMP3が世界中に普及した後の1999年秋になってから、MP3の圧縮アルゴリズムの権利は放棄していないと主張する企業が現われた。MP3の開発メンバーだった独Fraunhofer IISや仏Thomson Multimediaだ。

 通常、国際標準の策定では普及後のこうしたトラブルを避けるため、標準規格で使われる技術の特許に関して所有権放棄などの取り決めが行われるが、MP3策定のときには、これがきちんと処理されていなかったのである。ライセンス料は、例えばエンコーダなら1本あたり5ドル、デコーダで1本(1台)あたりに1ドル50セントなどと決められている。またMP3ファイルで楽曲の配布やストリーム放送を行った場合も非常に高額なライセンス料が発生する。

 これに対してOgg Vorbisは、使われる技術に特許がなく、そのソースコードをオープンにしている。世界中の開発者はその仕様や公開されたソースコードを自由に実装することができるわけだ。こうしたオープンな開発体制が世界中に波及すれば、より広範な製品への採用が進んだり、高音質化や高速化なども進むだろう。その恩恵を受けるのは我々だ。

 もっとも、Ogg Vorbisがフリーでオープンなフォーマットとは言え、PC向けソフトウェアからAV家電まで幅広く普及が進んだMP3を今から追い上げることは難しい。PC向けソフトウェアとしては、各種音楽プレイヤーが再生対応を進めている他、リアルネットワークスがXiph.Orgに資金援助すると共に同社製ソフトウェアへの組み込みを進めている。また、人気のMP3/WMA対応CDプレイヤーのSlim.XもOgg Vorbisに対応予定という。しかし、それでもなお主流フォーマットとは言えない状況だ。

 今後、Ogg Vorbisが普及するためには大手家電ベンダーのサポートが不可欠になってくるだろう。Ogg Vorbisはまだ生まれたばかりで評価は確定していない。今後の普及を期待しよう。

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