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ダイヤルアップ、プロトコル、モデムもはやネット接続に欠かせないプロトコル
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●【PPPの仕組み】 PPP:ダイヤルアップやADSLに利用される、2つのネットワークなど2地点間を結ぶプロトコル |
PPPは、ダイヤルアップIP接続やADSLなどで利用されるプロトコルで、Point-to-Point Protocolの略。このPPPは簡単にいえば、電話回線などを使って2つのネットワークを接続するためのプロトコルである。
ネットワークで使われるプロトコルは階層構造になっている。例えば、WWWで使うHTTPの下にはTCP、TCPの下にIP、IPの下にはEthernetやPPPといったプロトコルがある(さらにその下にはEthernetケーブルや電話回線など物理的な層がある)。
LANなどのローカルのネットワークでは、IPなどのプロトコルが、Ethernetの上で動作している。ここで他の地点にあるノード(マシン)へパケットを送信する場合に、Ethernetの代わりに使われるのがPPP。PPPは、さまざまなプロトコルを1つの回線を使って転送できるように考慮されており、ISDNや電話回線、専用線といったさまざまな通信回線で利用されている。最近流行のADSLでもADSLモデムのインターフェイスはEthernetになっているが、そこを通過するプロトコルはPPPになっている。これは、ADSLモデムをアナログモデムやTAのように考え、そこにPPPを使った、相手先との通信を確立させるもの(PPP over Ethernet:PPPoE、PPP over ATM:PPPoAなどの方式がある)。
PPPは、転送するパケットにプロトコルの種類を表わすヘッダ(PPPヘッダ)を付け、PPPパケットを組み立てて通信する。つまり、このPPPヘッダにより、受信側でパケットを元のプロトコルに戻してLANなどのネットワークに流せるようにしているわけだ。
PPPでは、仮想的な同期通信用の通信経路を定義してあり、すべてのデータは、一旦、この同期通信用のデータに変換される。そしてこれをさらに実際の通信に利用する機器(アナログモデムやTAなど)に合わせて変形させるのである。これは、実際の通信を行う機器とのインターフェイスを簡単にするために、PPPから回線側に送るデータの形式を一定のものにするためである。一旦、同期通信用の形式に合わせるのは、扱うデータが一定サイズになるパケットであるため、このようにするほうが効率が良いからである。
通信制御のためのプロトコルも同時に利用
LAN内では必要ないが、通信回線を使うとなると、接続時に正しい相手からのものかどうかを認証するなどの必要が出てくる。また、お互いに各種の設定などを同じにする必要があるのだが、PPPではこうした制御は、LCP(Link Control Protocol)で行う。
もう1つ、各プロトコルに特有の制御を行うNCP(Network Control Protocol)もある。例えば、これはIPのアドレス割当ての機能などである。プロバイダに接続する際にDHCPによるIPアドレスの割当てが行われるが、これにはPPPのNCPが使われている。前述のようにPPPでは、すべてのパケットにプロトコルの種類を示すPPPヘッダを付けるが、LCP、NCPのパケットも他のパケットと同じように送信される。ただし、LCP、NCPのパケットは、PPPを制御するモジュールが処理してしまい、ネットワーク側へは転送されない。
PPPはその柔軟性から、広く使われており、いまやインターネットに欠かせないプロトコルとなっている。
