今回は前半にひき続き、Athlon XP 1700+を使ったオーバークロック性能を検証する。メモリクロックとCPU内部クロックの倍率設定を操作し、どこまでパフォーマンスを求めることができるだろうか?
●Athlon XP 1700+のオーバークロック・パフォーマンス
【表3】オーバークロック動作テストにおけるそれぞれの設定値表
テスト1 | テスト2 | テスト3 | テスト4 | テスト5 | |
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FSB(MHz) | 133 | 140 | 157 | 173 | 196 |
CPU内部クロック・レシオ | ×11 | ×15 | ×13 | ×12 | ×11 |
CPU内部クロック(MHz) | 1463 | 2100 | 2041 | 2076 | 2156 |
モデルナンバーBIOS表示 | 1700+ | 2600+ | 2400+ | 2600+ | 2600+ |
Memory(DDR:MHz) | 333 | 350 | 392 | 414 | 392 |
メモリクロック・レシオ(FSB設定:メモリクロック) | 4:5 | 4:5 | 4:5 | 5:6 | 4:4 |
Row Active delay | 6 | 6 | 7 | 7 | 7 |
RAS to CAS delay | 2 | 3 | 3 | 3 | 3 |
Row Precharge delay | 2 | 3 | 3 | 3 | 3 |
CAS Latency time | 2 | 2 | 2.5 | 2.5 | 2.5 |
CPUコア電圧(V) | 1.850 | 1.850 | 1.850 | 1.850 | 1.850 |
メモリ電圧(V) | 2.6 | 2.6 | 2.6 | 2.6 | 2.7 |
AGP電圧(V) | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.8 |
CHIP SET電圧(V) | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.7 |
先のテストでこのCPUの最高動作周波数は、実クロックにおいて2.2GHzまでと判明した。それでは、このクロックマージンを利用して、最もパフォーマンスが得られるセッティングを模索してみよう。操作するパラメータは、メモリクロックとCPU内部クロックの倍率設定である。なお、コア電圧は、NF7-Sで可能な最高電圧となる1.85Vをセットする。ただ、その前に基準値となるAthlon XP 1700+本来のパフォーマンスを「テスト1」としてチェックしておいた。FSB設定クロックは、133MHzでCPU内部クロックの倍率設定をデフォルト(11倍)にセット。一方、メモリクロックは規定の333MHzでドライブするために5/4倍をセットしたが、先ほどの耐性テストから一転して可能な限りタイミングを詰めてみた。パラメーターは、「CAS Latency time:2、Row Precharge delay:2、RAS to CAS delay:2、Row Active delay:6」と言った具合だ(どこかでオーバークロックしないと気が済まない)。
いつものように、システムのパフォーマンスを数値化及び比較するためベンチマークテストを使用する。今回、用意したベンチマークテストのメニューは、Superπの104万桁、3DMark2001SE(Build330)、3DMark03、PCMark2002、FINAL FANTASY XI Official BenchMark、N-BENCH Ver2.0と多彩だ。中でも、3DMark03とFINAL FANTASY XI Official BenchMarkは、本コラムでは初めてである。N-BENCHに至ってはVer2.0にバージョンアップされてから初めて試すベンチマークテストだ。
なお、基準値となる規定クロックにおけるベンチマークテストの結果やオーバークロックセッティングで得られたテスト結果は、次ページにグラフ化しておいたので参考にしてほしい。
さて、冒頭でも指摘したが、このCPUのL1ブリッジが全てクローズになっていることから、CPU内部クロック倍率の操作が可能になっているハズである。「テスト2」としては、NF7-S(マザーボード)のCPU内部クロック倍率操作機能を用いて15倍速をセットして試してみることにした。逆算すると、FSB設定クロックを140MHzにセットすればCPUの実クロックは、2.1GHzを要求することになる。なお、この時のメモリセッティングは、先の規定クロックテスト時と同じ条件で試してみた(メモリクロックは計算値DDR350MHzとなる)。起動段階では、BIOS画面に「Athlon XP 2600+」と表示され、15倍速のオーバークロック動作が確認されるとともにWindows XPのディスクトップも難なく表示された。ところが、Superπの計算途中でエラーが表示されプログラムが中断されてしまう事態に。CPUの内部クロックについては、もう少し余裕があるハズ。やはり、このメモリに対するアクセスタイミングが厳しいのかも知れない。そこで設定を少々緩和させて(具体的なパラメーター値は表3参照)再度、計算を実行したところ、今度は無難に計算を完了した。続けて実施した各ベンチマークテストでもスコアーが残せた。
次に「テスト3」、「テスト4」のセッティングを順次試してみた。「テスト3」では、CPU内部クロック倍率を13倍速に、「テスト4」では12倍速にそれぞれセットしてベンチマークテストのスコアーを記録している。ただ、この時点よりメモリアクセスタイミングのパラメーターは、モジュールのデフォルト値をセットしている。と言うのも、CPU内部クロック倍率を下げてこのCPUを最大限に活用するとなると、必然的にFSB設定クロックと一緒にメモリクロックも高くなり、「テスト2」でセットしていたパラメーターでは、ついてこられなかったからだ。さらに「テスト4」では、FSB:メモリクロックを4:5の状態(DDR433MHz)でドライブしてみたが、3DMark03でエラーとなってしまった。そこでメモリクロックレシオを5:6にシフトしてDDR414MHzとしてみたところ、全てのベンチマークテストが完了できた。
そして、記録上は最後になるが「テスト5」を試した。このテストでは、CPU内部クロック倍率はデフォルトの11倍、メモリクロックレシオはFSB設定クロックとシンクロにセットした結果だ。ただし、メモリ電圧、AGP電圧、CHIP SET電圧の全ての項目でチョイス可能な最高電圧を選んでいる。これもやはり、先ほどのセッティング条件では、Superπや3DMark03で演算エラーが出てしまったからである。