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サイボウズ、“エージェント指向”のグループウェア『サイボウズ AG』のベータ版を配布開始

2002年03月06日 20時58分更新

文● 編集部 田口敏之

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サイボウズ(株)は5日、都内に報道関係者らを集め、同社のグループウェア『サイボウズ Office』シリーズの後継となる製品『サイボウズ AG(エージー)』のベータ版の配布を、同社ウェブサイト上で6日に開始すると発表した。

左から最高執行責任者(COO)の青野慶久氏、代表取締役兼最高経営責任者(CEO)の高須賀宣氏、最高技術責任者(CTO)の畑慎也氏
左から最高執行責任者(COO)の青野慶久氏、代表取締役兼最高経営責任者(CEO)の高須賀宣氏、最高技術責任者(CTO)の畑慎也氏

同社では1997年以来、“簡単”“お手軽”“シンプル”をコンセプトにしたグループウェア『サイボウズ Office』シリーズを提供し続けてきた。しかし、情報の共有をグループウェアで行なうことに限界を感じているという。たとえば、グループウェアで情報を共有している全員に、大量の情報が流れていくことで、情報を選択するという新たな“仕事”が生まれてしまい、豊富な機能がかえって扱いづらくなるとしている。

必要な機能を、ユーザーの行動原理に即してワンストップで提供するサイボウズ AG
必要な機能を、ユーザーの行動原理に即してワンストップで提供するサイボウズ AG

この問題を解決するために、同社はユーザーが必要な情報と機能を、必要なタイミングで提示することによって、定型的な作業にかかる時間とストレスを軽減するという、“エージェント指向のグループウェア”サイボウズ AGを開発した。同製品は、グループウェアとして必要な機能は一通り揃えているが、各機能の利用方法は、ユーザーの行動パターンに従って、必要な時点で提供されるようになっている。

トップページ。シンプルな構成を心がけたという。“受信箱”には、ユーザーに届くメッセージがすべて届くようになっている
トップページ。シンプルな構成を心がけたという。“受信箱”には、ユーザーに届くメッセージがすべて届くようになっている

サイボウズ AGはウェブブラウザーをインターフェースとしており、トップページには“スケジュール”や“受信箱”、“ニュース”など、ユーザーに必要な機能のみを表示する。この中の“受信箱”には、電子メールやインスタントメッセージ、電話メモ、各種の申請書、特定の場所にある文書ファイルの更新情報など、ユーザーに対してのあらゆるメッセージが届く。また、申請書などが届いた際には、閲覧画面上に処理を行なうためのフォームやボタンが表示される。スケジュールに関わるメッセージの場合は、そこからスケジュール欄に登録を行なえる。また、ニュースには、インターネットからのニュースだけでなく、社内のイントラネット上のニュースも表示できる。このように同製品は、インターネットとイントラネットの境界線を気にすることなく、ワンストップで処理を行なえるようになっている。また、オプションの『サイボウズ AG ケータイ/ポケット』や『サイボウズ AG シンク(for Palm OS/for Pocket PC)』などを用いれば、携帯電話やPDAとも、情報の同期が行なえる。

アドレス帳に企業名を入力して“企業サーチ”ボタンを押せば、企業情報の検索が行なえ、その情報をアドレス帳に反映できる
アドレス帳に企業名を入力して“企業サーチ”を行なえば、企業情報の検索が行なえ、その情報をアドレス帳に反映できる

また、業務上必要なインターネット上のコンテンツを、同製品上から利用できる。たとえばアドレス帳に企業名を入力すれば、そこから企業情報の検索を行なえる。郵便番号からは住所の検索を行なうことができ、住所からは地図の検索、路線の検索も行なえる。そして、これらの検索によって得た情報は、アドレス帳やカレンダーにまとめて反映できる。企業検索機能は、(株)東京商工リサーチとの、地図検索機能と路線検索機能は、(株)アルプス社と(株)ヴァル研究所との提携によるもの。また、スケジュールと行き先が確定していれば、スケジュール機能から、総合旅行予約サイト“旅の窓口”にリンクして、宿の予約なども行なえる。旅の窓口は、マイトリップ・ネット(株)との提携によるものとなっている。

スケジュールが決まっていれば、スケジュールの画面から“宿泊予約”を押して、直接宿泊予約を行なえる
スケジュールが決まっていれば、スケジュールの画面から“宿泊予約”を押して、直接宿泊予約を行なえる
高須賀氏。「妻にごちゃごちゃしていてわかりにくいと言われ、これはいかんと思った」と語った
高須賀氏。「妻にごちゃごちゃしていて分かりにくいと言われ、これはいかんと思った」と語った

同社代表取締役兼最高経営責任者(CEO)の高須賀宣氏は、「妻にサイボウズ Office 4の画面を見せた時、『ごちゃごちゃしていて分かりにくい』と言われ、これはいかんと思った。会社で使う情報や機能はどんどん増えていく。それに即して1つ1つポータル上に表示する小窓を増やしていったとき、それは果たして使いやすいのかと疑問を持ち、エージェントという概念を思いついた」と述べている。

同製品の未来について語った青野氏同製品の未来について語った青野氏

また、同社最高執行責任者(COO)の青野慶久氏は、同製品の未来について「あくまで人を中心と考えて、人がやりたいことができるように作り上げた。今後、あらゆるシステムや機能と同製品を連携させていきたい。社内のシステムに限ったことではなく、もっと日常的な情報やシステムとも連携できるようになるだろう。たとえば会社で家の風呂のスイッチを入れておけば、帰宅してすぐに風呂に入ることができる。サイボウズ AGを通じて、快適な時間を提供したい。これからオフィスで働く人々は、サイボウズ AGを日常的に使うようになるだろう」と語った。また同氏は「非常に大きな可能性を秘めた製品だが、(同製品は)まだ第一歩にすぎない。しかしこの一歩は、ソフトが人間に向けて踏み出した、大きな一歩だと考えている」と述べた。

あらゆるシステムや機能と連結するという、サイボウズ AGの未来像
あらゆるシステムや機能と連結するという、サイボウズ AGの未来像

同社では、ベータ版の利用者から意見を反映させて、製品版のブラッシュアップを図るという。製品版の提供時期は、2002年の第2四半期(4~6月)の予定。価格は、10ユーザー6万8000円、20ユーザー9万8000円、50ユーザー19万8000円、100ユーザー38万円、200ユーザー72万8000円と、これまでより細かいライセンス体系となっている。なお今回、無制限ライセンス版は用意していない。また同社は、3月1日以降に、『サイボウズ Office SOHO4』、『サイボウズ Office パック EX 4』を購入したユーザーは、サイボウズ AGを購入する際に、前バージョン購入時の代金分の割引を受けるサービスを用意しているという。

今回、ベータ版として提供を開始するのは、基幹となる『サイボウズ AG 基本セット』のほか、プロジェクトの共通作業場を提供し、情報共有を支援するアプリケーション『同 プロジェクト』、電子決済アプリケーション『同 ワークフロー』の3つで、ダウンロードファイルにすべてのアプリケーションを含んでいる。

製品は、サーバーとなるパソコンにインストールし、クライアントパソコンからアクセスして利用する。対応するサーバーOSは、Windows、Linux、FreeBSD、Solarisの4種類。Windowsは、Windows NT 4.0(SP3以降)/NT Server 4.0(SP3以降)/2000 server/2000 Professional/XP Professionalに対応する。Linuxは、インテルもしくはインテル互換のCPUを搭載するハードウェア上でのみ動作し、kernel 2.2x以上(2.4xも含む)、glibc 2.1以上に対応する。FreeBSDも、インテルもしくはインテル互換のCPUを搭載するハードウェア上でのみ動作し、FreeBSD 4.xに対応する。Solarisは、SPARC版でのみ動作し、Solaris 7/8に対応する。

サーバーに必要な動作環境は、CPUが、Windows版/Linux版/FreeBSD版は、Pentium-300MHz以上、SolarisはUltraSPARC II-400MHz以上。メモリーは64MB以上必要、HDDの空き容量は50MB以上必要となっている。

クライアントパソコンではウェブブラウザーが必要で、Windowsの場合、Internet Explorer 5.01/5.5/6.0、Netscape 4.7x/6.2以上に対応する。Mac OSの場合、Internet Explorer 5.0以上、Netscape 4.7x/6.2以上に対応する。

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