米OSDL(Open Source Development Lab)は、世界で2番目のラボ“OSDLジャパンラボ”を神奈川県横浜市に開設すると発表した。ラボの統括を行なう“ディレクタ”には、日本Linux協会副会長/LPIジャパン理事/Linux World Japanアドバイザリーボードメンバーの高澤真治氏が就任した。
OSDLジャパン ディレクタ 高澤真治氏 |
米OSDLはエンタープライズ分野や高機能サーバ向けのオープンソースプロジェクト(Linuxベース)を支援するための非営利団体(NPO)。大規模サーバなどの実験施設を持たないプロジェクトに対し、ハードウェアなどの研究環境を提供する。運営は以下の19社の出資/協力により行なわれている。
- 米Caldera International
- 米Computer Associtates International
- 米Covalent Technologies
- 米Dell Computer
- 富士通(株)
- (株)日立製作所
- 米Hewlett-Packard
- 米IBM
- 米Intel
- 米Linuxcare
- 米LynuxWorks
- ミラクル・リナックス(株)
- 三菱電機(株)
- NEC
- 米Red Hat
- 米SGI
- ドイツSuSE Linux
- 米Turbolinux
- 米VA Linux Systems
OSDLは非営利団体であるため、これらスポンサー企業を含め、1社のみの利益になるようなソフトウェアの研究は行なわない。また、OSDLで行なわれた研究は、他者が利用できるような知的所有権を有することとなる。
今回日本に設立されるOSDLジャパンラボは、来年1月、神奈川県横浜市保土ヶ谷区の“横浜ビジネスパーク”に登場する。米国のOSDLはオンラインによる活動がメインだが、OSDLジャパンラボの場合は3つのプロジェクト室、24人の会議スペース、3名の常駐スタッフを用意し、実際にプロジェクトのメンバーが集まっての研究も行なわれる。
またOSDLジャパンラボは、米国以外で独自のプロジェクトを募集し、アジアのオープンソースコミュニティに対し広範な支援を行なうとしている。現在プロジェクトの募集はOSDL本部への英語による申し込みしか行なっていないが、11月末を目処に日本語による受け付けを開始する予定。
現在、OSDLジャパンラボのプロジェクトとして、
- IPv6
- SCore
- Namazu
- PostgreSQL
- Linux Super Page
などが計画されている。
OSDLジャパンラボの開設/運営資金は、米OSDLからの支援金があてられ、OSDLジャパンラボ自体は営利活動を行なわない。また、OSDLの協力企業には日本企業も含まれているが、OSDLジャパンと日本企業間で、直接の資金提供は行なわれず、米OSDLからの支援金のみがOSDLジャパンラボの資金源となる。
OSDLには“OSDLアソシエート(準会員)”という個人向けの会員サービスがあるが、これについても今後日本人によるメーリング・リストを運営する予定だという。現在は英語によるメーリングリストしか運営されていないが、興味のある方は、OSDLのページにアクセスしていただきたい。