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LinuxWorld Conference & Demo /Tokyo 2001(その9)

LinuxWorld展示会場めぐり──ソフトウェア編

2001年10月26日 13時03分更新

文● 阿蘇直樹

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VA Linux Systems ジャパン(株)「Slashcode」

VA Linux Systemsジャパンでは、同社が運営する「OSDN」のニュース/コミュニティサイトとして有名な「Slashdot」システムをベースとしたコミュニケーションポータル構築システム「Slashcode」や、すでに納入実績のある共同開発支援ツール「SourceForge」を紹介していた。

「Slashcode」のデモ。

「SourceForge」は、OSDNの同名サイト「SourceForge」のシステムを用いた、企業向け共同開発支援ツール。「Slashcode」は、モデレーション機能などのあるコミュニケーションポータル構築システムとして、企業や研究/教育機関などに販売されている。どちらも顧客からの要望に応じたカスタマイズを行なうことが可能だ。

ミラクル・リナックス(株)「MIRACLE Linux V2.0」

ミラクル・リナックス(株)は、10月24日に出荷開始されたばかりの「MIRACLE Linux V2.0」のデモを行なっていた。担当者によると、「初日に行なわれた日本オラクル(株)代表取締役である新宅正明氏の基調講演で同製品が紹介されたこともあり、多くのお客ように興味を持っていただけているようです」とのことだった。

デモを行なっていた「MIRACLE Linux V2.0」。

韓国PalmPalm Technology「Tynux」

韓国PalmPalm Technologyは、同社の組み込み向けLinuxディストリビューション「Tynux」と、開発キット「Tynux Box」を展示していた。

開発キット「Tynux Box」。

「Tynux」は、StrongARMベースのプロセッサに最適化されたディストリビューションで、リアルタイム処理などが強化されているほか、「XIM(eXecute-In Place)」という技術によって、アプリケーションをメモリ上に読み込まずにフラッシュメモリから直接実行することが可能になっている。同社の製品は、国内では移動体テクノロジー(株)が販売を行なう。担当者によると、韓国では、いくつかのハードウェアベンダーが「Tynux」を組み込んだモバイル機器を開発しており、製品化にかなり近づいているものもあるという。

日立ソフトウェアエンジニアリング(株)「SELinux」

日立ソフトウェアエンジニアリング(株)は、セキュリティを強化したLinux「SELinux」や、高可用性分散プロセス間通信「HA/DIPC」を出展していた。

「SELinux」は、米国国家安全情報局で開発され、GPLで公開されているカーネル2.4へのセキュリティパッチ。管理者権限を廃止し、プロセスごとに最小限の権限のみを付与することで、高いセキュリティを実現している。権限の割り当て作業についても、ローカルコンソールからでないとできないようにするなどの設定が可能で、リモートからの攻撃は事実上不可能だという。担当者によると、現在日本ではこのSELinuxに関する情報が十分ではなく、あまり知られていない上に、設定が非常に複雑なため運用も困難なことが多いといい、同社では将来、SELinuxをベースにしたセキュアアプリケーション開発や設定サービスなどを行ない、SELinuxコミュニティにも成果を還元したいとしている。

「HA/DIPC」とは、Sys V IPCインターフェイスでの分散メモリ共有を行なう「DIPC」に、論理共有セマフォと論理共有メモリ空間のレプリケーション機能を実装したもの。これにより、クラスタシステムのノード間で共有されたメモリでトラブルがあった場合に、レプリケーション先のメモリが情報を引き継ぐことが可能になり、可用性の高いクラスタシステムを構築することが可能になるという。今回は参考出展だが、信頼性が高まればオープンソースでの提供も検討しているという。デモでは、12月末に発売されるアプライアンスサーバ「ILIOS / IS2000」を3台接続したクラスタシステムを展示していた。

右側にあるのが「ILIOS / IS2000」を利用したクラスタ。共有メモリに読み書きするチャットシステムを用いてデモを行なった。

(株)アステック・プロダクツ「ASTEC-X」

「ASTEC-X」は、Windowsマシン上でXアプリケーションを実行するためのソフトウェア。ネットワークに接続されているUNIX/BSD/Linuxマシンのアプリケーションを利用することができる。

「ASTEC-X」のデモ。Windows上からTurbolinuxのエディタにMS-IMEで文字入力することも可能。

このツール上では、Windowsの日本語入力システムを利用してXアプリケーションに日本語を入力したり、WindowsアプリケーションとXアプリケーションの間でテキストのカットアンドペーストをすることもできる。同製品は(株)アステック・プロダクツのWebサイトから評価版をダウンロード可能。

(株)ウィンドウ「RAIDit for Linux」

(株)ウィンドウでは、Linux用ソフトウェアRAID「RAIDit for Linux」と、同製品がインストールされたアプライアンスサーバを出展していた。

「RAIDit for Linux」の管理画面。RAIDレベルの変更などが可能。

同社によると、Linux対応の商用ソフトウェアRAID製品はこれまでなく、ユーザーはハードウェアRAIDを利用するか、サポートのないオープンソースのソフトウェアRAIDを利用するしかなかったという。なお、機能限定版の「RAIDit-light」は12月より同社Webサイトからダウンロードが可能になるそうだ。

(株)ホライズン・デジタル・エンタープライズ「HDE Center 2.4」

(株)ホライズン・デジタル・エンタープライズは、10月31日に発売するサーバ管理ソフト「HDE Center 2.4」の紹介や「HDE Linux Controller」シリーズの展示を行なっていた。

画面は「HDE Linux Controller 2.0 Enterprise Edition」のもの。「HDE Centre 2.4」では、インターフェイスにも変更が加えられる。

(株)メイズ「AssEST」

(株)メイズは、ヒトの遺伝子をデータベース化したシステム「AssEST」を展示していた。

「AssEST」デモのようす。

「AssEST」は主に医学、薬学などの研究者向けに構築された、Red Hat Linuxベースの遺伝子データベースシステム。Webから検索することが可能になっており、ユーザーはサーバへのアクセス権を購入し、同社の提供するデータベースサーバにアクセスするため、常に更新された新しい情報を利用することが可能になっている。

(株)ネオジャパン「iOffice SSS(サザン)」

(株)ネオジャパンでは、同社のグループウェア「iOffice V3」に統合可能な営業支援ツール「iOffice SSS(サザン)」を出展していた。

「iOffice SSS(サザン)」の動作画面

「iOffice SSS」では、営業担当者の日報作成や交通費の申請、日報検索などの機能を利用して営業活動を支援するツール。iモードからの入力にも対応している。また、「iOffice V3」のメニューに「iOffice SSS」を追加し、統合して利用することもできる。価格は10ユーザーで19万8000円、以降10ユーザーごとに10万円となる。

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