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オラクル、Eビジネスプラットフォーム新バージョン『Oracle9i』を発表

2001年07月11日 22時10分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本オラクル(株)は11日、都内で記者発表会を開催し、データベースを中心とした企業向けソフトウェアプラットフォーム製品(※1)の新バージョン『Oracle9i』を発表した。

※1 オラクルは、データベース管理システムやアプリケーションサーバーなどの、企業内情報システムの基礎となるソフトウェアを“プラットフォーム製品”と定義している。

Oracle9iは、RDBMS『Oracle9i Database Release1』とアプリケーションサーバー『Oracle9i Application Server Release1.0.2.2』の2つのソフトウェアからなる。10月1日に発売予定で、価格はOracle9i Databaseが1CPUあたり162万円から(対応システムにより異なる)、ユーザーライセンスはユーザーあたり3万2000円(最低5ユーザーから)。Olacle9i Application Serverが1CPUあたり60万円から、ユーザーライセンスはユーザーあたりで7000円(最低10ユーザーから)となっている。

日本オラクル執行役員製品本部長の保科実氏
日本オラクル執行役員製品本部長の保科実氏

発表会では、日本オラクル執行役員で製品本部長の保科実氏が、Oracle9iの製品概要について説明した。Oracle9i Databaseの開発では、Oracle8iと比較して400以上の機能追加や強化を行なったという。Oracle9i Databaseにおける主な強化点としては、データベースパフォーマンスの強化、“Oracle9i Real Application Clusters”機能の装備によるクラスタリング機能提供、障害からの保護機能などを挙げた。

TPC-Cベンチマークによる、IBM DB2とMicrosoft SQL Serverとの比較
TPC-Cベンチマークによる、IBM DB2とMicrosoft SQL Serverとの比較

パフォーマンスの強化では、TPC-Cベンチマーク(※2)において、23万533tpmC(トランザクション毎分)と、シングルサーバー(Compaq AlphaServer GS)として現時点で最高の成績を達成したという。Oracle9i Real Application Clusters機能は、従来のデータベース用クラスタリング技術では難しかった、ノード数の増加に比例した性能向上と、クラスター内のノードに障害が発生した場合に、残ったノードだけで運用が行なえるという信頼性の向上が得られたとしている。なお、このクラスター技術のベースには、米コンパックコンピュータ社のクラスターソフトウェア『TruCluster』の技術が使われている。

※2 Transaction Processing Councilが提供する、データベースのオンラインデータ処理ベンチマークテスト。

ノードを1、2、4と順に増やしていき、どの程度パフォーマンスが向上するかを示したデモンストレーション
ノードを1、2、4と順に増やしていき、どの程度パフォーマンスが向上するかを示したデモンストレーション。4ノードでは1ノードの350%以上となった。従来は200%程度までしか上がらなかったという

このほかOracle9i Databaseではファイルシステムを拡張して、画像イメージやストリーミングデータなど、インターネットで提供されるコンテンツファイルを格納、管理できる“Oracle Internet File System”を搭載した。まず10月1日にSun SPARC Solaris(32bit)版を発売し、その後Linux(IA-32)版、Windows NT/2000版を年内に発売予定。これ以外ではHP-UX、Tru64 UNIX、IBM AIX、DYNIX/ptx、Aplha Open VMSの各対応版を順次発売予定。

Javaアプレット処理時間比較グラフ
Oracle9i Application Serverと他社アプリケーションサーバーのJava実行環境における、Javaアプレット処理時間比較グラフ

Oracle9i Application Serverは、2001年1月に提供を開始したが、今回発表したのはJavaアプリケーション実行速度の高速化やウェブキャッシュ機能のサポートによるインターネットコンテンツの高速配信に対応した“Release 1.0.2.2”。Java実行環境はJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)と100%互換の“Oracle9i Application Server J2EE Platform”を搭載し、他社のアプリケーションサーバーのJava実行環境と比較して2倍以上の性能になったとしている。

代表取締役社長の新宅正明氏
代表取締役社長の新宅正明氏

日本オラクル代表取締役社長の新宅正明氏は挨拶の中で「2000年の日本のUNIXのRDBMS市場においては市場成長率を上回る伸びとなり、市場シェア68%となった。IAベースのRDBMS市場においては、市場成長率は下回ってしまい、市場シェアは48%になった。ただ、今後はIA-64の登場によってIA市場においてマルチOS化が起こり、Wintelの時代が終わる。これを機にIA市場でもUNIX並みのシェアを取りたい」と、IA-64市場に対する意気込みを語った。オラクルは企業向けのUNIXサーバー市場での7割という圧倒的なシェアと、64bit対応の技術やノウハウを下地として、これからの数年間で大きな伸びが予想されるIA-64市場で攻勢をかける。

新宅社長が示したUNIX RDBMS市場における'99年と2000年のシェア
新宅社長が示したUNIX RDBMS市場における'99年と2000年のシェア
こちらは'99年と2000年のIAベースのRDBMS市場においてはシェア
こちらは'99年と2000年のIAベースのRDBMS市場においてはシェア。わずかに減少したとはいえ、ほぼ半分を占めている

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