カシオの「CASSIOPEIA E-750」は、OSにWindows for Pocket PCを搭載するPocket PCマシンだ。従来モデルの「CASSIOPEIA E-700」と比べ、CPUとバッテリを強化し、さらにCFカードに対応した点が新しい。
PHS通信カードでモバイルWebブラウジングに最適に対応
厚くなったという印象は少ない本体側面。向かって左側(写真上)に集中するボタンで多くの操作が行える。 |
CASSIOPEIA E-750は、従来のE-700がCPUにVR4122-150MHzを搭載していたのに対し、新たにVR4131-200MHzを搭載する。これにより、処理速度では約30%高速化され、動画(MPEG4)再生がスムーズになり、アプリケーションの起動などの諸動作もキビキビと動くようになった。CPUの高速化に合わせて、バッテリの高容量化、低消費電力設計の見直が図られており、バッテリ駆動時間はE-700の連続7時間から連続10時間へと延長された。
カードスロットはフリップ式のフタで覆われている。フタは簡単に取り外せるので、PHS通信カードを挿しっぱなしにする人は外したまま使ったほうがよいだろう。手前のCFカードがDDI PocketのC@rd H” petit。 |
それ以上にE-750での大きな特徴がCFスロットの搭載だろう。E-700は拡張スロットとしてSDカードを採用していたが、E-750はTypeII CFカードに変更された。これにより、NTTドコモの「P-in Comp@ct」や、DDI Pocketの「C@rd H” petit」などのPHS通信カードが利用可能となったのが最大の利点となる。また、「E-500」用の周辺機器であったCFスロットに装着する35万画素CCD搭載デジタルカメラカード「JK-710DC」(3万5000円)の利用が可能となっている。
デザイン的な変更はあまりないが、バッテリ部が従来機に比べて若干大きくなっている。 |
本体デザインに関しては、E-700とほとんど変わっておらず、気になる厚みも18.9mm(E-700)から20mm(E-750)と、1.1mm増加したのみだ。幅も1.8mm、高さも4.2mm大きくなっているのだが、実際に手に持ったときの感触はE-700とあまり変わらず、E-700をベースにP-in Comp@ctを装着できるようにしたNTTドコモの「GFORT」が非常に大柄というイメージがあったのとは対照的だ(GFORTはボディを防水性のラバーで覆っているため85(W)×25.5(D)×135(H)mm、重量は約300gとかなり大きく重い)。
内蔵/付属のアプリケーション群は、基本的にはE-700と同様だが、いくつかのソフトウェアが追加(いずれも付属CD-ROMに収録)されている。主な追加ソフトは以下のとおり。
- ドリームテクノロジーズ「WordLinker」:画面上のテキストを範囲指定し、ワンタッチでWeb検索を実行
- ActiveSky「ActiveSky Media Player」:動画/音楽/テキストなどのマルチメディアコンテンツ(独自フォーマット)を再生するソフト
- Packet Video「PVPlayer2.0」:MPEG4ストリーミング再生
- ZIO Software「METALION」:1st Personビューシューティング
- ZIO Software「ZIO Golf 2」:ゴルゲーム
- ZIO Software「Pow Wow」:縦シューティング
また、従来からのソフトウェアもバージョンアップされており、カシオ製の「Mobile Picture & Video Player with Camera」は静止画や動画の表示だけでなく前述のデジタルカメラカードを用いて静止画/動画の撮影も可能となった。
C@rd H” petitを装着したところ。露出したアンテナがなく、スロットから飛ぶ出す部分も少ないのでモバイルWebブラウジングに適している。 |
操作性に関してもE-700とまったく変わらないのだが、CPUが高速化しただけあってスムーズに動く。といっても、E-700そのものもアプリケーションの切り替えなどでもたつくことも少なく、Pocket PCマシンとしてはかなり高速な1台であった。処理速度的にはE-700よりもコンパック「iPAQ Pocket PCH3630」(StrongARM-209MHz搭載)のほうが高速だが、E-750の登場により再び肩を並べるパフォーマンスになったと言えるだろう。ただし、バッテリやスロットの変更により、250gというPDAとしてはかなり重い製品になってしまったのは残念だ(実際には260gのjornada 548が最重量機だが、jornada 548は金属製の液晶カバーを取り外してjornada 525相当にすると230gとなる)。
現在、国内メーカーのPocket PCとしては、カシオのE-700/E-750、コンパックのiPAQ Pocket PCH3630、それに日本HPの「jornada 548」および「jornada 525」がある。わずか3社3シリーズしかないように思えるが、ハードウェアスペックよりも携帯しやすさをとったjornada、ジャケットを着せ替えることでCFカードもPCカードも利用できるiPAQ、スロット内蔵でマルチメディア向けのE-750と、バリエーションは豊かだ。その中でもE-750は最もパワフルな1台であり、Webブラウズやマルチメディア(MPEG4動画やMP3ファイル)再生など、CPUパワーが欲しい人にはうってつけのPocket PCだ。
CPU | VR4131-200MHz |
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メモリ | 32MB |
表示 | 240×320ドット/6万色、HAST-TFTカラー液晶 |
インターフェイス | シリアル/USB(同期用)、赤外線ポート(IrDA1.2)、CF(TypeII)、 イヤホン端子(専用リモコン対応) |
電源 | リチウムイオン充電池、ACアダプタ(直接接続/クレードル) |
駆動時間 | 約10時間 |
本体サイズ | 83.6(W)×132.2(D)×20.0(H)mm |
重量 | 約250g |