「カシオペア E-2000」は、Pocket PC 2002を搭載したカシオペアシリーズの最上位モデルだ。国内での発表はPocket PC 2002日本語版の登場直後に製品をリリースしたNECや東芝、日本HPに約3カ月遅れる形となったが、そのぶん完成度の高い1台に仕上がっている。
3種類のメモリスロットに加え
USBにも対応
写真1 十字キーにはスピーカを内蔵。「決定」に相当する機能をアサインできないのは使いにくく感じた部分。今後は片手だけでメニュー操作を完結できる仕組みをぜひとも取り入れていただきたい。 |
17.5mmという本体の厚みは、東芝の「GENIO e550X」などと同等だ。従来機は厚さが20mm、重さも250gあり、身に着けて運ぶには大きく重すぎる印象だったが、本機程度であれば、ジャケットの内ポケットに入れてもそれほど苦にならないサイズである。
本体が小型化しても、拡張性が失われていないのはうれしい部分だ。本機は、標準でCF(TypeII)とSDカード(SDIOには未対応)の2種類のスロットを持つほか、専用オプションの「PCカードユニット」(JK-864PU、2万1000円)を背面に装着することで、PCカード(TypeII)やUSB機器を接続できる。このアダプタには本体と同容量(950mAh/3.7V)のセカンドバッテリも内蔵しており、本体バッテリと合わせれば最大24時間の連続使用が可能となる。装着時のサイズは86.2(W)×145.2(D)×31.6(H)mm、重量は320gとそれなりにかさばるのも確かだが、無線LANやデータ通信カードなど消費電力の多いデバイスを使う際には心強い。
写真2 メインバッテリとバックアップ用電池はともに交換可能。他社のPocket PCでは内蔵してしまっているケースも多いが、交換式であれば、予備バッテリ(JK-214LT、6000円)を用意しておくことで、外出先で電池が切れてしまっても対応できる。 |
このようにカシオペア E-2000は携帯性と拡張性を兼ね備えたPocket PCだが、実際に使用してみると気になる部分もあった。そのひとつが操作性だ。
写真3 若干使いにくく感じたのが、ヘッドフォン端子の位置。コネクタが外側にはみ出してしまい、ソフトケースなどに入れにくいため、L字型の端子を持ったヘッドフォンを用意するといいだろう。 |
これらは些細なことかもしれないが、長く使うほど不満に感じる部分でもある。特に前者に関しては、専用ユーティリティを用意するなどソフト面での解決策もあると思われるので、早期の対応をぜひともお願いしたいところだ。
価格はオープンプライスで、予想実売価格は6万円弱。高い拡張性をうたうPocket PCには、本機のほかにNECの「ポケットギア」がある。ポケットギアはメモリが32MB(本機の半分)しかないものの、iアプリを実行することが可能だ。価格はほぼ同等だが、バッテリが交換可能な点やCFカードスロット部分にくぼみを付けてカード(特にmicrodriveなど)の着脱をしやすくするなど、PDA開発が長いカシオ計算機に一日の長があると感じさせる部分もある。
カシオペア E-2000の主なスペック | |
製品名 | カシオペア E-2000 |
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CPU | StrongARM-206MHz |
メモリ | 64MB(SDRAM)+32MB(フラッシュROM) |
表示 | 3.5インチ反射型カラーTFT液晶(240×320ドット/6万色) |
スロット | CF TypeII×1、SDカード×1 |
電源 | 専用リチウムイオンバッテリ、ボタン電池(CR2032) |
バッテリ駆動時間 | 約12時間(非通信時) |
本体サイズ | 82(W)×130(D)×17.5(H)mm |
重量 | 190g |