マルチメディア対応の高機能機

　E-700は、CPUにVR4122-150MHz、液晶画面には6万色表示のTFTカラー液晶と、PocketPCマシンとしては高いスペックを持ち、Microsoftの「Windows Media Player」による音楽再生に加えて動画再生ソフト「モバイルビデオプレイヤー」をプリインストールしているなど、マルチメディア再生ツールとして利用しやすいモデルだ。内蔵スピーカはモノラルだがイヤフォン端子はステレオ対応で、別売りのリモコン付きイヤフォン(2800円)を使用した場合はイヤフォン側のコントローラでWindows Media Playerの再生を操作でき、携帯用音楽プレイヤーとしての利用に便利な工夫がなされている。なお、モバイルビデオプレイヤーは従来機「E-500／507」から継承するソフトで、MPEG1をもとにした独自動画フォーマットを使用するため、PC上で付属ソフトを使いMPEG1やAVIファイルなどから変換する必要がある。
　背面の拡張スロットは従来機のCFスロットからMMC／SDカードに変更され、E-500シリーズ用デジタルカメラカードなどの機器は使用できないが、通信に関してはオプションの携帯電話／PHS用ケーブル(4500円)を本体下部コネクタに差して使用できる。


E-700の上面後部にあるフタ(軟質素材)を開くとSD／MMCカードスロットが現れる。

　E-500に比べると、OSがH/PC3.0からPocketPCに、CPUもVR4121-131MHzからVR4122-150MHzに変更したことにより処理速度は大きく改善され、アプリケーション起動やタスク切り替えでの待ち時間は劇的に減少している。
　操作ボタンとして、本体正面左のカーソルボタンと右の3つのプログラムボタン(標準ではラウンチャ／スケジューラ／連絡先が登録されているが変更可能)、左側面のアクションコントロール(ジョグダイヤルタイプ)、さらに電源と録音ボタンがある。操作に関しては一部重複する機能もあり、たとえば画面をスクロール操作をする場合、アクションコントロールを押し下げてもいいし、カーソルボタンの下を押してもよく、さらに画面上のスクロールバーをタップもしくはドラッグしてもよいわけだ。PDAは機構も操作性もシンプルなのがよいと感じるものの、複数の操作方法があることにより操作の自由度が増しているのも確かだ。たとえば、左手のみで本体を握って操作する場合は左手の親指でアクションコントロールを操作し、両手が使える場合は両手の親指ではさむように本体下部を持って左手親指でカーソルボタンを使えばよく、携帯ゲーム機のような持ち方がごく自然なスタイルとなる。

	E-700の本体正面。左の円形のカーソルボタンと右のアプリケーションボタンなど、携帯ゲーム機のように使いやすい。


E-700の左側面。本体を左手で持ったときは電源スイッチやアクションコントロールを親指だけで操作できるようになっている。

　E-700は、PDAとしてのPIM利用もさることながら、音楽プレーヤやフルカラー画像ビューアなど、マルチメディア再生機能を活かした楽しみ方ができる端末だ。CFスロットを持たないため、P-in Comp@ctをはじめとした市販カード機器が利用できないのは少々物足りなく感じるかもしれないが、そういった通信派のユーザーはE-700とは姉妹機にあたるNTTドコモの「GFORT」を購入するのも選択肢のひとつだろう。なお、価格はオープンプライスだが、同社のオンライン販売サイトe-casioでは専用ケース、リモコン付きイヤフォン、携帯／PHS接続ケーブルと本体のセットで6万4800円で販売されている

主なスペック

製品名	E-700
CPU	VR4122-150MHz
メモリ	32MB
表示	240×320ドット／6万5536色、HAST-TFTカラー液晶
インターフェイス	シリアル／USB(同期用)、赤外線ポート(IrDA1.2)、MMC／SDカード、イヤフォン端子(専用リモコン対応)
電源	リチウムイオン充電池、ACアダプタ(直接接続／クレードル)
駆動時間	約7時間
本体サイズ	81.8(W)×18.9(D)×128(H)mm
重量	約218g
付属ソフト	モバイルスケジュール、モバイル住所録(オリジナルPIM)、英和・和英・国語・漢和辞典、カード用バックアップソフト、JRトラベルナビゲータ、携帯ほいほい