日本アイ・ビー・エム(株)の22日付けの発表によると、米IBM社は現地時間の21日、HDDのデータ記憶密度を従来の4倍まで拡張できる新しい磁気コーティング技術を実用化したと発表した。
HDDのデータ記憶密度は高密度化すると、一般の耐用年数内でも磁化方向を維持できずに記録データが消失する可能性があるという。この現象は、スーパーパラマグネティック効果と呼ばれ、1平方インチ(6.45平方cm)あたりの密度が20~40Gbitに達すると発生すると予測されている。現在の製品の面密度はほぼこの値になっているという。
AFC技術の概念図 |
今回発表した技術では、2つの磁性層にはさまれた厚さ原子3個分のルテニウムの層が鍵となる。この層により、隣接する磁性層の磁化が反転する。磁化方向が逆になると、多層構造全体の厚さが磁気的には実際より薄くなるため、小さく高密度なビットを書き込めるとともに、メディア全体としての厚さにより磁化が維持されるという。
従来のメディアの磁化の様子 |
AFCメディアの磁化の様子 |
反強磁性結合(AFC:antiferromagnetically-coupled)メディアと呼ばれるこの多層コーティングにより、2003年までには、1平方インチあたりのディスク領域に100Gbitのデータを格納できると考えられている。これが実現されると、デスクトップパソコン用HDDでは400GB、ノートパソコン用HDDでは200GB、同社製1インチマイクロドライブでは6GBが可能になる。
すでに、1平方インチあたり最大25.7Gbitの面密度を持つAFCメディアが、同社のノートパソコン用2.5型HDD製品『Travelstar』に搭載され、出荷されている。