Compaq Computer
499ドル
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コンパックコンピュータは、すでに米国で販売中のPocketPC「iPAQ H3650」の日本語版を2001年上半期に国内発売することを発表した。ここでは、日本語版の登場に先立って「iPAQ H3650」(英語版)のショートレビューをお届けする。
高いスペックと操作性
iPAQ H3650は、CPUにStrongARM SA-1110-206MHz、表示デバイスに320×240ドット/4096色表示のバックライト付きカラーTFT液晶を塔載する。本体サイズは130(W)×83.5(D)×15.9(H)mm、重量は178.6g。内蔵バッテリにはリチウムイオン充電池を採用し、12時間以上の利用が可能となっている。32MBのユーザーメモリはPocketPCでは一般的だが、OSを格納する16MBのROMはフラッシュメモリとなっており、将来的なOSやシステムアプリケーションのバージョンアップにも対応可能だ。
H3650本体はシルバーメタリックの金属筐体を採用している。手触りはツルツルしていてなかなか良いのだが、さすがにPDAでは取り落としそうということからか、標準で樹脂製のアウターケースが付属する。背面と両側面をカバーするもので、スライドさせて本体に装着すれば一体となるデザインで、ラバー素材とほどではないが手にしっくりとなじみ、ちょっとした傷は防いでくれそうだ。
iPAQ H3650本体。金属製の本体はなめらかで滑りそうだが、本体にはスロットの類を持たないだけあって薄くてコンパクトだ。 |
操作スイッチ類はメインのアプリケーションボタンが液晶下に4つ、中央には丸いカーソルキーが配置されている。このカーソルキーは上下左右のほか、中央をプッシュすることも可能で、スクロール操作だけでなくアプリケーションの選択/起動といった操作を親指だけで行える「アクションダイヤル(ジョグダイヤル)」として利用できる。さらにこのカーソルキーには放射状のスリットがあり、モノラルスピーカにもなっている。本体左上には録音(ボイスメモ)ボタンが、液晶右上には電源ボタンがある。さらに、録音ボタンの横に小さな丸いLEDのような窓があるのだが、これは光センサとなっている。光センサで測定した周囲の明るさによって液晶バックライトの輝度を変える機能を持ち、明るい場所ではバックライトなしの反射型液晶として、暗い場所では自動的にバックライト付きで画面を見ることができるわけだ。
スタイラスは本体右上に格納されており、スタイラスポケットの横にあるロックボタンを押すことで「パチッ」とスタイラスがポップアップする構造だ。
操作に関して良くできていると感じたのは、アプリケーションボタンだろう。ボタンは左から「Calendar」「Contacts」「QMenu」「QStart」がアサインされ、このうちCalendar/ContactsはPocketPC標準アプリケーション(カレンダー/電話帳)を起動する一般的なものだ。右側にあるQStartはアプリケーションの一覧画面を表示するのもので、PocketPCのStartメニューを使うよりもすばやくアプリケーションを起動できる。QMenuはPocketPCのStartメニューとは別のメニューを呼び出すもので、タスクマネージャや各種設定などをプルダウンメニューで利用できる。いずれもアプリケーションの登録などカスタマイズ可能で、2つのボタンとカーソルキーにより、アプリケーション起動からファイルの選択まで、多くの操作が可能となっている。
Pocketの中の合体マシン
iPAQ H3650の大きな特徴が「Expansion Pack」と呼ばれるオプションのアウターケースだ。これは表面から見ると本体付属のケースとあまり変わらないものの本体下部のコネクタと接続し、背面に設けられたスロットをiPAQ H3650から利用可能にするものだ。
本体付属のアウターケース(右)とCF Card Expansion Pack(左)。スロットがある分だけ後部が分厚くなっている。 |
Expansion PackにはPCカードスロット×1を持つ「PC Card Expansion Pack」とCFカードスロット×1を持つ「CF Card Expansion Pack」の2製品が用意されている(いずれもTypeII)。Compaqからは32/64MBのCFメモリカードのほか、CFカードの56kbpsモデムやPCカードのワイヤレスEthernetアダプタなどがオプションとして用意されている。日本語版ではP-in Comp@ctやPCカード型PHSカードの利用が期待できそうだ。
CF Card Expansion Packを装着した状態でP-in Comp@ctを装着してみた。これでモバイルインターネットができるならば欲しがる人は多いはずだ。上面中央の黒い楕円は赤外線通信ポート、左端の黒い丸がスタイラス、その右にある銀色のボタンがスタイラスロックボタン。 |
Expansion Packを装着した状態では付属のアウターケースよりも5~7mm程度(メーカー公称値なし)厚みが増え、標準のアウターケース装着時に比べるといかにも分厚く感じるのだが、用途に応じてスロットを後付けできるというメリットは大きいだろう。なお、本体標準のアウターケースの交換用として、「Style Packs」と呼ばれるカラフルなケースもオプションで用意されている。
3色のセットで販売されているオプションのStyle Pack。銀と黒のツートーンの標準構成と大きくイメージが変わるはずだ。 |
クレードルはUSB接続タイプが標準で付属し、オプションでシリアル接続タイプが用意される。ACアダプタ(標準付属)を本体に直接接続して充電できるほか、クレードル後部に接続することでクレードルでの充電も行える。
付属のクレードルはUSBインターフェイスを採用する。アウターケースやExpansion Packを装着したままでもクレードルにセット可能だ。 |
国内発売が待ち望まれる
利用したのが英語版ということもあるが、実際に使用してみるとアプリケーションの起動や切り替えなどが機敏で非常にスムーズに利用できた。CPUの種類やOS、日本語版と英語版の違いはあるものの、「hp jornada 548」(SH3-133MHz)よりも速く、「カシオペア E-700」(VR4122-150MHz)と同等程度でないかと思われる。また、4096色表示の液晶は、E-700の6万色表示ほど色鮮やかではないにしても視認性は高く、PDAとして実用上十分すぎるほどだ。
画面はバックライトの存在もあってかなり見やすい。動画表示などを要求しないのであればWebブラウジングも快適だろう。 |
なんといってもCFカードやPCカードを必要に応じて利用できるPDAというのは魅力が大きい。現在の国内のPocketPCは、標準でTypeIのCFスロットを装備する「hp jornada 548」、MMCスロットのE-700、TypeIIのCFスロットを装備する「GFORT」がある。これらの機種に食指を伸ばしつつも、スロット形状や本体サイズ、液晶表示などのスペック的が自分が必要とするものではないと思っている人は、iPAQ H3650を期待しつつ待つのも選択肢ではないだろうか。
ちなみに、米国ではiPAQ H3650本体は499ドル、CF Card Expansion Packが49ドル、PC Card Expansion Packが100ドル程度で発売されている。本体の価格はhp jornada 548と同じなので、国内における日本語版の販売価格もhp jornada 548(hp e select価格5万9800円)と同適度になることが予想される。
製品名 | iPAQ H3650 |
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CPU | StrongARM SA-1110-206MHz |
メモリ | 32MB |
ROM | 16MB(フラッシュメモリ) |
表示 | 320×240ドット/4096色表示3.77インチカラーTFT液晶 |
インターフェイス | クレードル(USB、オプション:シリアル)、赤外線、Expantion pack(CF、PCカード) |
本体サイズ | 130(W)×83.5(D)×15.9(H)mm |
重量 | 178.6g |
バッテリ | リチウムイオン充電池 |
駆動時間 | 12時間以上 |