日本ヒューレット・パッカード(株)は25日、企業ユーザー向けに製品を提供しているエンタープライズ事業統括本部(EAO)の'98年度総括と、'99年度製品戦略を発表した。同社では米本社にあわせて11月1日付けで新会計年度に入った。10月1日付けでEAO本部長に就任した飯塚雅樹氏が、'99年度の製品戦略について説明した。
エンタープライズ事業統括本部 飯塚雅樹本部長 |
飯塚氏はまず、具体的な数字に関しては'99年1月の決算発表まで公開できないと断った上で、'98年度の総括を行なった。Pentium
II Xeon搭載のWindows NTサーバー製品群が70パーセントの売上増を記録するなど、ハードウェア製品に関しては全体的に好調だったという。UNIXワークステーション製品に関しては、市場全体が約20パーセントのマイナス成長となったなか、'97年と同等の業績をあげており、同氏は「事実上シェアの拡大」と語った。
ソフトウェア部門では、生産から物流、販売まで製品の流れを管理する“サプライチェーンマネジメント(SCM)”や、分散した業務データを一元管理する“データウェアハウス(DWH)”などのソフトウェアサービスが、前年を上まわる売り上げを計上したという。
'98年度の売り上げをユーザー企業の業種別に見ると、好調だったのは通信、流通業。一方、金融や製造業に対しては、苦戦を強いられたという。特に製造業へのアピールに関しては、「生産から販売まで、幅広いサービスへのニーズにフォーカスすることができず、それが食い込み不足につながった」(飯塚氏)と、反省の弁が聞かれた。
'99年度は、ハードウェアに加えて、SCMなどソフトウェアとコンサルティングサービスの提供に、さらに力を入れる方針。'98年度の反省から、金融や製造業へも積極的に攻勢をかけるという。OEM企業などとの連携をさらに強め、サポート体制を強化、顧客満足度の向上を図っている。
SCMなどソフトウェア・コンサルティング分野に関しては、「かつて自社開発のシステムを運用しており、ヒューレット・パッカード自身が、SCMのユーザーであった。ユーザーとしての経験から、コンサルティング、プランニングを含めた総合的できめの細かいサービスを提供したい。ソフトウェアを導入して終わり、という販売はしない」(飯塚氏)とコメントした。
同事業本部では販売チャネルとしてのインターネットに注目しているという。マーケティングを統括する中村共喜マーケティング本部長は、「製品ごとに最適な販売チャネルは異なる。それぞれに最適なチャネルを取り入れて、販売活動を行なっていく。インターネットは、新たな販売チャネルのひとつとして注目している。詳細は明かせないが、'99年度前半には、インターネットを利用した新しい販売チャネルに関する発表を予定している」と語った。
エンタープライズ事業統括本部マーケティング本部 中村共喜本部長 |
対応の遅れが懸念されている西暦2000年問題について水を向けると、「対策が進んでいるといわれている米国においても、すべての障害はクリアできないだろうと考えている。日本では、さらに大きな障害が発生すると認識している。現時点でも、企業ユーザーへの情報提供や啓蒙セミナーを行なっているが、さらにセミナーの頻度をあげるなどの対策を講じていく予定」(前出・中村氏)とのコメントだった。
同事業部では、対'98年度比で、30パーセントの売り上げ増を目標としているという。