(社)コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会(CESA)は、幕張メッセで開催中の“東京ゲームショウ'98”において、ゲームソフトなどのエンターテインメントソフトの著作権保護に関し、欧米の2団体と共同声明を発表した。
今後CESAは、アメリカのIDSA(Interactive Digital Software Association)、ヨーロッパのELSPA(European
Leisure Software Publishers Association)と、著作権保護、レイティング問題(ソフトの未成年への使用制限に関する問題)、流通、市場統計、ショウ・イベントなどに関する問題、の5つのテーマに関し、交流、協調、提携を深め、国際ルールの確立をめざしていく。
この共同声明に先立って開催された“海外権利保護問題フォーラム”では、IDSAが、アメリカにおける著作権違反の現状についての報告を行なった。
IDSAのDouglous Lowenstein(ダグラス・ローエンステイン)代表 |
アメリカの著作権保護団体ISDAが、現在直面している問題は、日本で直面している問題と同じように、インターネットによる違法ソフトの配布である。ただ、アメリカでは、違法ソフトをダウンロードできるサイトを見逃したインターネット接続プロバイダーにも、多額の賠償金を支払わせる法律が、昨日最近制定され、今後はインターネットによる違法ソフトの配布という問題は、ほとんどなくなるという。
現在、違法ソフト製造の集積地となっているのが、香港とパラグアイであり、ISDAは、両地で、1ヵ月後に大規模な違法コピー撲滅キャンペーンを展開する計画であるという。香港の違法ソフトは、台湾で製造されたゲームソフトのチップが中国本土に渡り、そこでカートリッジに詰められた後、香港で販売される、という複雑なルートをたどっている。また、中南米のパラグアイには、アメリカやアジアから違法ソフトが輸入されてくるだけでなく、違法ソフトを製造する工場が現地にあり、そこで作られた違法ソフトが南米に向けて販売されている。
さらに、違法ソフトの製造・販売は、容易に資金を稼げることもあり、経済危機に陥ったロシアや東南アジアが、組織犯罪として違法ソフトを手がけるようになっている。これらの、国際的な組織による犯罪を防止するためにも、日米欧の国際的な協調が求められている。