次に、オープンソースの盛り上がりによって、どのような教訓を得ることができたのか、という点について触れた。
第1の教訓はオープンの勝利、である。どのような産業でも、成熟するに従ってオープンなほうが勝つ、という。ここではコンピュータの歴史を振り返り、PC/ATの普及やSun MicrosystemsのApolloの例をあげ、「人はオープンというものに慣れていて、ソフトウェアにもオープン化を求めている」とした。
そして第2の教訓は、ベンダーの考え方が変わったことだという。ベンダー間の相互運用性が重要で、APIの公開だけではその会社がなくなってしまったら終わりなので、不十分であるという。そして、「本当の意味でオープン化を実現するものとして、オープンソースがある」と語った。
第3の教訓は、オープンソースにおいて、企業が「より小さな目的のみを果たすようになった」という。たとえば、Windows NTを開発するためには企業に入社するしかないのだが、Linux(オープンソース)では誰でも参加することができる。これは、開発のステージが、企業から個人の手に渡ったことを意味する。そして、開発者がますます重要な存在になってきて、企業は非常に慎重に開発者を選択しなければならないという。顧客は会社につくのではなく、開発者につくというわけだ。
そして、「開発リスクの分散」に話は移った。オープンソースによって、開発する側は、開発リスクを分散することができる。企業も、今まで無理だった大型プロジェクトを行なうことができるようになった。「いままでは大企業しかできなかったことが、オープンソースコミュニティのリソースを使うことで、大きなプロジェクトを行なえるようになったのだ」。