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Linuxセミナーってどんなもの?―くみぽんのセミナー潜入記‐その1

1999年08月03日 22時27分更新

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 セミナーの概要をざっと眺めてみよう。インストールは、テキストとして採用された翔泳社の「Debian GNU/Linux 徹底入門」の付録CD-ROM(Debian GNU/Linux 2.0)を使用して行なった。

今回はノートパソコンにLinuxをインストール。本来ノートパソコンへのインストールは、デスクトップパソコンに比べ、難しいとされるが、X Window Systemなどの設定は行なわなかったため、特につまづくことはなかった

教材として使用した「Debian GNU/Linux 徹底入門」。550ページ以上のDebian入門書だ

 4GBのハードディスクを約1:3の割合でパーティショニング。その後、必要なパッケージをDebian独自のメンテナンスツール「dselect」を使用してインストールした。Debianはパッケージの管理能力の高さで有名だが、その分、インストール作業で手こずることも多い。ただ、今回時間的な都合もあり必要最低限のものだけをインストールしたので、特にトラブルが起こることはなかった。講師とアシスタントの方が、手取り足取りついていてくれたからという理由もあるだろう。

 その後「vi」を体験。viは2日目の設定ファイルの編集などで必要となるため、ファイルのコピーや保存などごく簡単な操作方法を学んだ。とにかく好きなように操作してみる。今回はサーバの構築が目的だったため、日本語は使用できなかったものの、vi特有の入力、操作モードの変換方法、カーソルキーの移動など、とにかくキーを打ちまくる。まさしく、読むより覚える、という感じだ。

つまづくと、すぐアシスタントの方がきて指導してもらえる

 続いて2日目。いよいよ、LAN環境の構築だ。初日にLinuxをインストールしたマシンに、PCMCIAカードの認識を行なう。先生いわく、若干古めのラトックシステムズ製のカード「RATOC REX-5588A」が対応しているとのこと。なので、これに対応するドライバ「fmvj18x_cs.o」をCD-ROMからハードディスクにコピーする作業から開始した。ちなみに先生は、このセミナーのためにいくつかのPCMCIAカードを事前に試してみたそうだが、「corega PCC-T」、「Buffalo LPC2-T」では、自動認識に失敗したという。ノートパソコンでLinuxを使用するのが難しいとされる理由は、こんなところにもありそうだ。

 昨日勉強したviを早速用いて、CD-ROMの中に入っている必要なドライバをインストールしていく。該当するファイルを呼び出すところまでは、昨日のインストールと同じだが、今回異なるのは、そのファイルをネットワーク認識させるために、いくつかの設定を行なわなければならないこと。実際にネットワークにはつなぐことはなかったが、ダミーのIPアドレスなどを書き込み、認識させることにした。私も含めて、viを初めて使用する人の方が多かったにも関わらず、全員が同じペースで作業を進めていくことができたのは驚いた。若鳥氏もセミナー終了後、「みなさん、説明すればすぐ理解できる方ばかりでしたね。そういう意味では、参加者のレベルは高かったと思います」とコメントしていた。やればできるのだ。

 次に、「Apache」のパッケージインストール作業を進める。さすがに最後の山場だけあり、FTPサーバ、DHCPサーバなど設定項目が多い。数多いDebianのパッケージの中から、使用したいファイルを探し出すことはかなり難しそうだが、今回はどの4枚組のCD-ROMのうちの、どの場所にあるか、丁寧に指示をしてもらえた。インストール作業がこれほどすんなり進んだのは、教えられたとおりに進めていくだけでよかったという理由もあるだろう。

 そして最後の残りの時間を使って、Linuxの生い立ち、また、Linuxを使う利点をWindowsと比較しながら説明するなど、一般的なLinuxの概要についての説明が行なわれた。また、質疑応答の場も設けられ、参加者からは、「LinuxはSMPに対応しているのか」、また、「USBはサポートされているか」などといった質問が出されていた。これまでひたすらパソコンの画面に向かって作業を進めてきて、その中で初めてのデスクワークということもあってか、受講者が熱心に耳を傾けメモをとっている姿が印象的だった。

 こうして、無事にセミナーは終了したわけだが、2日間という短期間であったので、サーバの構築方法をひととおり体験したというのが実感だった。ざっと眺めると順調な進み具合に見えるかもしれない。だが、細かいところでは、実は何度もつまづいているのだ。viの操作がわからなかったり、CDのマウント方法がわからなかったり、そのたびに先生や講師の方に質問をしていた。身近にアドバイスをしてくれる先生がいたおかげで、特に悩んだりすることもなく、すんなり進めることができたというところだろう。本を見てすべて自分でトラブルを解決しなくてはならないとしたら、もっと時間をロスしていただろうし、そもそもインストールだってままならなかったかもしれない。

 そういう意味では、今後1人でサーバを構築する際には、まだまだ勉強しなければならないことは多い。今回はその勉強のためのスタート地点に立つことができた、という気がしている。

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