露出やレンズなど課題満載のHD動画開発
──動画という単語が出ましたが、ずばり動画を入れた意図はいかがでしょうか。
加藤 まず、プロカメラマンの方からの要望がありました。昨今、ウェブ上で動画ニュースなどを掲載するケースが増えているのですが、プロカメラマンの方からカメラとビデオカメラを1台にまとめたいという要望がありました。
もちろんコンパクトデジタルカメラにも動画機能が入っています。そこからステップアップしてきたユーザーからはなぜ入っていないのか、というような素朴な疑問も寄せられました。
加えて一眼レフカメラの特徴を生かした動画があるだろう、と考えました。EOS 5D Mark IIは35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載しているので、ビデオでは出せないぼけ味やフィッシュアイレンズなどを使った特殊な撮影、そして暗いシーンでもきれいな動画撮影が出来るわけです。
──フルHDに関するこだわりはどうでしたか。
中野 センサーが大きいですからね、それを活かした高画質で撮れないと、という気持ちがありました。
──苦労した点はいかがですか。
佐々木 元々静止画しか撮らないレンズを動画に使うためやることが多数ありました。
普通に撮ったらボケてしまうわけです。露出の決め方のチューニングもしましたし、絞りも途中で動かされたらどうなるか、など、いろいろとやることが多かったです。今までもライブビューで動画はあったわけですが、それはディスプレーに垂れ流していただけでした。しかし今度はそれが記録されてしまうわけです。色や明るさが変わったということも全部記録されてしまうわけで、それらが大変でした。
──初心者が簡単に撮影するための工夫は？
佐々木 ライブビュー動画の露出はオートなのですが、そのくらい気軽に使えるようになっています。また、ユーザー側で独自に研究をしていろいろな使い方を編み出している方もおられるようです。
中野 ユーザーからはどんどん要望が上がってきています。AEモードに応じた撮影をしたい、という要望も上がってきています。
──今後は動画搭載機種が増えると見てよろしいでしょうか。
中野 動画はまだ出したばかりなので、反響をみて、というところです。
加藤 これだけ反響を頂いている、ということはスチルカメラへの動画搭載についてはもっと考えていかないといけないな、と考えています。
──それでは今後、キヤノンはAPS-C機にも動画を入れる方向性になるのでしょうか。
加藤 市場の動向、お客様の声等を判断して考えていきたいと思っています。
中野 意外と動画の反響が大きく、例えばビデオでは出せないぼけ味などが、システム価格数十万円で揃ってしまうことなどに、ビデオ分野の方が驚かれ、興味を持っていただいているようです。皆さんからの反響を楽しみに待っています。
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