キヤノンのカメラはどう進化するのか
それでは締めとして、EOS 5D Mark IIだけでなく、今後のキヤノンのカメラ作りなどについてお伺いします。
──カメラがより高機能になり、ユーザー側も覚えることが増えています。メーカーとしてこれに対して何かお考えですか。
加藤 エントリー機種のユーザービリティー調査をしていると、カメラの操作が直感的に分からない部分がまだあるようです。お客様に快適に撮影に集中していただく取り組みというのは、今度もやっていく必要があると考えています。
中野 今回、そのようなことも踏まえて一つの取り組みとしてEOS 5D Mark II、そしてEOS 50DにCAモード(クリエィティブ全自動モード)を採用しました。基本的に自動なのですが、多少ユーザーにいじってもらうことで背景をぼかしたり、明るさを設定できるわけです。ここで慣れていただいてステップアップしてもらおう、と考えました。もちろん完全な答えではありませんが、直感的に使えるようにしています。
──今回は動画を搭載しましたが、今後搭載していく決定的な機能はありますか。
中野 ここで話すわけにはいきません(笑) 今回の動画のような新しい提案とともに、ユーザーの要望は取り入れていきたいと考えています。
──ニコンからD3Xが登場して、ニコンのカメラシステムが揃ったと思われるのですが、キヤノンとしていかがでしょうか?
加藤 競合が出てくるのは市場が活性化するので良いことです。キヤノンも、さまざまなお客様に適したカメラを今後もラインアップとして持って行く必要があると考えています。
──ハイアマチュア向けのフルサイズ高速連写系機種はお考えですか?
加藤 フィルム時代にプロ機ですが、連写の速い「EOS 1V」という機種がありました。このカメラはハイアマチュアの方にも数多く使っていただいておりました。そういったお客様のニーズがあることは認識しています。
──余談ですが周辺機器として外付けGPSユニットはお考えでしょうか?
加藤 今でも、アクセサリーのWFTを使って外付けGPS機器を接続し、位置情報を記録できるようにしています。デジタル時代になって撮影枚数が増えているわけで、お客様のなかにも撮った写真を整理するのに困っている声というのはお聞きします。その一つのソリューションになりますね。
──来年以降のデジタル一眼市場ですが、景気の動向から見て厳しいという声もあります。そう言う中でどのようなカメラが求められていくと感じていますか。
加藤 そうですね。厳しい経済状況であることはどの会社も同じことなので、これからもお客様に喜ばれるカメラ作りをしていくことにつきると思っています。
──それは楽しみです。長時間ありがとうございました。