ドメインを超えて
「元祖パナソニック商品を、国内で扱う立場として、より大きな責任を感じている」と、西口本部長は語る。
今回のブランド統一で、影響が一番大きいのは国内市場だ。もちろん、ブランドが変わるナショナルブランドの白物商品に比べれば、従来からパナソニックブランドを使用しているAVC商品への影響は少ない。
だが、オールパナソニックとして統一メッセージを展開する上で、同じブランドとなる白物家電商品との連動性が、より高まるのは明らかだ。
「対外的にメッセージが一本化されるという効果だけでなく、ひとつのブランドとなることで、白物家電との連動性も必然的に高まってくる。開発現場では、すでに、技術者同士が連動性を意識した議論を開始し始めている」と、これまでにない動きが始まっていることを示す。
薄型テレビ「VIERA」のリモコンでは、HDMIで接続されたレコーダーのDIGAやオーディオラックの操作ができるようになっている。また、ドアフォンとの連動も可能になり、テレビを視聴中にリモコンを使って、ドアフォンの映像を見ることもできる。
こうした連動提案は年を追うごとに進展している。しかし、これらは同じAVCネットワークス社のドメインのなかでの連動であり、ドメインを越えることになる白物家電との連動という点では、まだ踏み込んだものがないのも事実だ。
もともとパナソニック商品とナショナル商品は、それぞれに独自性を持ちながら、方針を決定してきた経緯がある。とくに、パナソニック電工(旧・松下電工)のように、会社組織まで異なれば、それは当然のことであった。
かつて、パナソニックが実施したユーザーアンケートでは、薄型テレビ「VIERA」のリモコンで、次に連動させたいものはなにかという調査結果で、第1位に「照明」があげられたという。
テレビのリモコンで、照明までコントロールできれば、利便性は確かに高まるだろう。例えば、就寝時に、ベッドにいながら、ひとつのリモコンでテレビを消して、照明まで消すことができるようになる。
だが、照明はパナソニック電工の商品であり、これまでのブランドはナショナル。旧松下電器が生産するパナソニック商品との連動には、大きな壁があったといえる。しかし、これからは、同じパナソニックブランドの商品として、連動性はむしろ必然となってくるはずだ。
そして、それは、他社にはできないAV機器と白物家電との連動を実現することにもなる。
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