今回のテーマは「エラッタ」。前回の「パソコンを速くしたい人のステッピング教室」同様、こちらもややマニアックな用語の解説だ。とはいえステッピングとも縁が深く、よく使う用語ではあるので、あわせて理解しておくとよいだろう。
CPUコアの不具合がエラッタ
エラッタはCPUコアに存在する不具合(構造上の欠陥)のことで、ソフトウェアでいう「バグ」に当たる。CPUは設計時に入念にシミュレーションし、試作チップを作って動作を検証してから量産を開始するのだが、それでも後からエラッタが見付かることはある。
ほとんどのエラッタは特殊な条件でのみ発生するため、システムに重大な不具合をもたらすことは少ない。だが、中にはシステムのクラッシュの原因となったり、正しい演算結果が出ないという深刻なエラッタも存在する。過去の有名なエラッタとしては「Pentiumの浮動小数点演算に関するエラッタ」というものが挙げられる。
具体的には、このエラッタは「特定の条件で割り算を行なうと間違った結果になる」というものだった。当初インテルは、間違った結果が出てくる確率は相当低かったため大きな問題ではないとしていた。だが、その後ユーザーからの抗議を受け、結局は不具合がある全てのPentiumを無償で交換することとなったのだ。
BIOSアップデートによって修正できるエラッタもある
通常の場合、エラッタはステッピング変更の際に修正される。それ以外の細かなエラッタは、マザーボードのBIOSをアップデートすることで修正されるケースもある。
Pentium Pro以降のCPUは、通常の命令を「マイクロコード」と呼ばれるさらに細かな命令に分けて実行しているため、マイクロコードを修正することで不具合を解消できる場合がある。
CPUには起動時にBIOSから修正したマイクロコードを読み込む機能が搭載されているため、BIOSをアップデートすることでエラッタが修正される場合もあるのだ。
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