
パソコンのスペック表を眺めていると「云々nmプロセスルールの最新CPU搭載」といった宣伝文句を見かけることがあるだろう。よく分からないまま「新型なんだー、すごいんだろうなー」で終わってしまったらパソコンは選べない。今回はこの「プロセスルール」について解説しよう。
配線の幅がプロセスルール
CPUやメモリーなどの半導体を製造する際は、まずマスクと呼ばれる設計図からウェハー(半導体の薄板)に回路を転写することになる。その回路の配線の幅をプロセスルールと呼んでいるのだ。
ルールなどと言われると難しそうに聞こえるが、要は紙に文字を書くときのペンの太さのようなものだと思えばいい。細いペンなら、同じサイズの紙にもよりたくさん文字を書ける。同じように、プロセスルールが小さくなれば、同じ面積の半導体に、より多くのトランジスターを作れるわけだ。
プロセスルールの縮小が半導体の進化を支える
プロセスルールが縮小されるにしたがって、多くのトランジスターを使って複雑な機能を実現できるようになる。電子が移動する距離も小さくなるため、トランジスターの動作速度も向上していく。半導体の進化は、プロセスルールの縮小によって支えられてきたと言っていい。
インテル初の32bit CPU「i80386」シリーズが登場したのは1985年だが、当時のプロセスルールは1μm(1マイクロメートル、1μmは1mmの1000分の1)で、トランジスター数は27万5000個だった。
それと比べて、2008年に登場したインテルの最新CPU「Core 2 Duo」シリーズのプロセスルールは45nm(45ナノメートル、1nmは1mmの100万分の1)。トランジスター数は4億1000万個にも達している。
この23年間で、プロセスルールは約22分の1に縮小され、トランジスター数は約1500倍に増えている。ちなみに人間の髪の毛の直径は90μm。45nmプロセスルールは、輪切りにした毛の断面に2000本の線を引くのと同じこと。もはや神がかった緻密さがCPUに要求されているのが分かるだろう。
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