「パソコンを動かすのはCPU。ではCPUを動かすのは?」なんてなぞなぞみたいなことを聞かれると「?」と思ってしまうかも知れないが、正解は「人」だ。私たち人間が機械であるCPUにすんなりと指示を与え、やりたい仕事をこなせるのは「命令セット」というものがあるから。今回は命令セットの話をしよう。
CPUは与えられた命令にしたがって動作する
CPUはパソコンの頭脳とでもいうべき重要なパーツだが、自ら判断して動くわけではない。外部から与えられた命令にしたがって動作している。その上、CPUが直接理解できる命令は、実は1つ1つを見てみれば非常にシンプルなものなのだ。
具体的には「なんとか番地のメモリの内容をレジスターAに読み出す」、「レジスターAの値に1を足す」といった感じだ(「レジスター」はCPUの内側にあるメモリーのようなものだ)。OSはもちろん、ゲームやウェブブラウザーなどのアプリケーションソフトも、すべてこうしたシンプルな命令を多数組み合わせることによって動作している。
命令セットはCPUの国際言語
そのとき、CPUが理解できる命令の集合を「命令セット」と呼んでいる。同じ命令セットをサポートするCPUであれば、CPUのブランドやメーカーが違っても同じプログラムを動作させることができる。
言ってみれば、命令セットは私たちがふだん使っている「言葉」のようなものだ。英語圏やフランス語圏など、生まれた国は違っても同じ言葉が通じる人同士なら、同じ「命令」にしたがって仕事ができる。
代表的な命令セットとしては「x86」「PowerPC」「MIPS」「ARM」「IA-64」などが挙げられる。パソコンの世界ではインテルが開発したx86命令セット(インテルはx86命令セットのことをIA-32と呼ぶようになったが、一般的にはx86と呼ばれている)が広く普及している。
AMDやVIA TechnologiesのCPUもx86命令セットを採用しているため、AMD製CPUを搭載したパソコンでも、VIA Technologies製CPUを搭載したパソコンでも、インテル製CPUを搭載したパソコンと同じOSやアプリケーションソフトが利用できるのだ。
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