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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第10回

NB100は初心者向けではない――東芝がNetbookを出すワケ

2008年10月10日 09時00分更新

文● 西田 宗千佳

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重視したのは「日本ユーザー向けのバランス」

 問題はどのような製品を提供するかだ。すでに述べたように、Netbookは差別化しにくい製品だ。スペックだけ見れば、NB100も他社のNetbookと比べて飛び抜けた部分はない。

本体左側面

本体左側面。USBポートがひとつ。本体の厚さは29.5~33mmで持ち運びも容易

本体右側面

本体右側面。左からブリッジメディアスロット(SD/SDHC、メモリースティック等)、USB×2

本体背面

本体背面。左にアナログディスプレー出力、バッテリーを挟んで右にLAN端子を備える

 技術面での商品企画を担当した、プロダクトマーケティング担当主務の原田健史氏は、「バランスを重視してスペックを決定した」と話す。荻野氏はNB100のコンセプトについて、こう説明する。

 「モバイルノート、という切り口の商品ではありません。常に持ち歩いて使い続けるというより、『旅行にも持っていける』製品、という感覚。別な言い方をすれば、トランスポータブルというところ」(荻野氏)

 NB100で特徴的なのは、「Windows XP搭載」「メモリー1GB」「HDD搭載」という点だ。個々の要素は「Netbookならば普通では……」という印象を受けるが、この要素を「すべて備えた日本メーカーの製品」は、意外と存在しない。

 特に問題になるのはOSだ。いかにNetbookといえど、国内メーカーがこの時期にXPを採用するのは冒険である。価格を下げるなら、メモリーを512MBにする選択肢もあるし、逆にワンポイントとして2GBにする、という発想もある。ストレージについては、それこそ「フラッシュメモリーの東芝」なのだから、SSDを使ってもいいように思える。

快適に使えるバランスを保つ場合XPしかない

このCPUと1GBのメモリーでは、快適に使えるバランスを保つ場合XPしかない(原田氏)

 「XPを入れるにしても、(Netbookに使われる)SSDの容量では、いくらか削らねばなりません。その上で、安心して使っていただくことを考えると、やはりHDDとなります」(原田氏)

 ではなぜXPなのか? 東芝の個人向けPCは全機種がWindows Vistaを採用しており、XP採用機はない。ユーザー視点では別の意見があるとしても、東芝側のメッセージとして、「個人向けPCにはVistaが最適なOS」というメッセージであったのは事実である。

 「Vistaで……という話があったのも事実です。しかし、このCPUで1GBのメモリーとなれば、XPしかない、と考えました。もちろん、コストの問題もありますが」(原田氏)

 結論としては平凡ではある。だが、Netbookのコストとユーザビリティーを考えると、おのずと選択肢が限られるのだろう。ちなみに、NB100に関しては、今後も「Vistaをサポートする予定はない」(原田氏)という。

 NB100はワールドワイドでの販売を前提に企画された商品だ。そのため、日本国内向けの仕様と、海外向けのものとでは異なる部分がある。天板のカラーバリエーションを複数用意する国もあるが、根本的な「バランス」の点でも、大きく異なるものもある。

 たとえば海外モデルの場合、HDDの代わりにSSDを採用したり、OSにXPではなくUbuntuを採用するモデルもある。しかし、日本では提供する予定はない。理由は、「日本で想定するユーザーにあわない」(荻野氏)からだ。言い換えれば、前述のような「バランス」が、国によって異なる、ということである。

 ハードウエア以外に、日本市場向けの「バランス」として重視されたのが「サポート可能である」ということだ。

Windows以外を採用するのは難しい

きちんとサポートするためには、Windows以外を採用するのは難しい(荻野氏)

 「日本市場に提供するのであれば、ある程度きちんとサポートできる形でなければいけません。となると、現状ではWindows以外を採用するのは難しい」(荻野氏)

 NB100は、既存のNetbookに比べて価格が高い。だがこれも、東芝として「サポートなどを勘案した価格」ということになるようだ。

 逆に言えば、一般的なノートパソコンから大きく外れた仕様の採用は、日本市場では、逆にコスト割れする可能性が高いと判断されたのだろう。

 現時点では、海外で提供されるであろうUbuntu向けのドライバー類やサポート情報も、「日本語化して提供する予定はない」(原田氏)という。

 ちなみに天板のデザインについても、「海外向けを想定したもの。その中で、もっとも日本市場に合うだろう、というものを選択した」(荻野氏)そうだ。

荻野氏と原田氏

海外向けを想定したもの。その中で、もっとも日本市場に合うだろう、というものを選択した(荻野氏)

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