月刊アスキー 2007年10月号掲載記事
旅行とインターネットの関係は、今や切っても切れない。ネットユーザーの間では常識と化した旅行のネット予約などにおいても、クチコミによる集客と商品へのコンバージョン手法が重要なファクターとなってきた。
総務省の調べによれば、日本における2006年の旅行市場は、国内宿泊が16.4兆円、日帰り旅行が4.7兆円、海外旅行が1.7兆円。国内旅行はやや縮小気味だが、2007年の夏休み期間は海外旅行が前年比121パーセントの伸びという。
またウェブマーケティングガイドとマクロミルの調査によると、旅行の情報収集にインターネットを使う人は、調査対象の90.8パーセントにもおよんだという。ネット上で旅行情報やサービスを提供しているのは、JTBのような旅行代理店、JAL、ANAといった航空会社、JRなどの鉄道会社、ホテル、旅館業など幅広いが、これらの多くは交通や宿泊の予約機能が中心となっている。
それに対して、クチコミ情報を核にして、総合的な旅行者への情報提供を行っているのが「フォートラベル」である。
クチコミに加えて豊富な旅行商品情報も
フォートラベルでは、旅行に行ったユーザーが、自分の旅行記を旅行ブログとして投稿するほか、旅先のホテルやレストランやショッピングのクチコミ情報も個別に投稿できる。投稿された旅行記とクチコミは、国や都市ごと、またホテルやお店ごとに分類され、検索・再利用できる。
蓄積しているのは、クチコミ情報だけではない。ネット上で旅行商品の提供を行っている19社と契約し、各社の商品情報の供給を受けている。これらを旅行先や期間や価格帯で一括検索し、比較検討するための機能も提供している。提携先のサイトで行う商品の購入までユーザーの導線がスムーズに設定されている。
旅行におけるユーザーの行動は、
1. 旅行前の情報収集
2. 旅行商品の検討
3. 旅行商品の購入(予約、手配)
4. 実際の旅行
5. 旅行後の思い出の整理・記録
といった段階を踏むという。
多くの旅行予約系のサービスが上記の2.と3.に特化しているのに対し、フォートラベルはクチコミと商品情報の2本立てにすることで「旅行における消費チェーンを、すべてサポートすることができる」(野田氏)。
ユーザーが投稿したクチコミが、ヤフーやグーグルなどの検索エンジンを介して旅行情報を求めるユーザーを集め、そこで実際の商品の比較・検討・購入をし、旅行後のユーザーが、さらにクチコミを増やす。そのクチコミが、また新たなユーザーを呼び込む。情報の検索から商品の購入まで循環する、CGMの生態系が構築されている。
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