月刊アスキー 2007年5月号掲載記事
従来のマスメディア広告に代わる、バズ(クチコミ)マーケティングと呼ばれる手法が注目を集めている。クチコミの重要性は以前から着目されており、特定地域や特定層に向けたPRと調査の機能を提供する企業は存在する。しかし、ブログやSNSの利用者が3000万人時代に突入し、CGMにおけるクチコミの波及スピードがクローズアップされた結果、さらに注目が集まり、ブログやSNSを使ったクチコミプロモーションを行う企業が登場している。
なかでもサイバー・バズはいち早く意欲的に事業を進めている企業だ。ブログを使ったクチコミプロモーションには2つの手法がある。1つはブログの「規模」を利用するもの。ブロガーなら誰でも容易に参加でき、ブログに記事を載せる対価として報酬を支払うペイドブログ型だ。もうひとつは「ハブ」「インフルエンサー」と呼ばれる影響力の強いブロガーに的を絞った手法。ネット以前から、こういった存在が商品のヒットや流行に大きな影響を与えることは知られていた。
しかし、インフルエンサー型のブロガーを世の中に影響を及ぼせる数だけ確保するのは簡単な話ではない。しかし、サイバー・バズは設立10カ月にして800名ものブロガーを確保したという。参加資格は1日1000ページビューという目安に加え、そのブログの35項目にわたるインフルエンス(影響)の度合いによって決まる。なお、ブロガー集めの基本は一本釣りだという。これはというブロガーには直接勧誘を行う。親会社のサイバーエージェントが運営するアメーバブログだけでなく、ほかのブログ運営会社にも提携を呼びかけて連絡をとっている。ただ、最近は自薦/他薦で申し込んでくるブロガーもかなり増えているという。
宮崎氏によれば、前出のペイドブログ型サービスも含めると、競合はすでに30~40社にもなるという。その中でも、サイバー・バズは50%以上という圧倒的なクライアント企業のリピート率を誇るという。その強さの秘密は緻密なブロガーの組織化と詳細なレポーティング能力の高さにある。サイバー・バズの参加ブロガーは6段階に段階分けされ、参加成績や記事の影響度によって毎月ランクが変わる。ブロガーがプロモーションに参加すると、掲載されたブログをサイバー・バズ社員が実際にチェックし、同時にブロガーはアンケートで報告する。さらに独自の記事内容分析技術を使ってクチコミの広がりをチェック。これらを合わせてクライアントにレポートを提出する。同時に参加ブロガーにタグを付けて分類することで得意分野を絞り、商品やサービスをより適切なブロガーに届けられる仕組みになっている。
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