昭和40年代生まれの筆者にとって、「新幹線」といえばまさに0系のイメージで、東海道をアイボリーホワイトとブルーのツートンカラーで疾走する、というものだった。しかしいつしか時が経ち、その後新しい世代の新幹線が次々と登場する中で、0系新幹線のことはすっかり忘れていた。
その0系新幹線がいよいよ引退だ。現在、0系新幹線を運行しているのはJR西日本の山陽新幹線区間のみだが、そのJR西日本によると、今年の11月30日で引退(JRお出かけネットの告知ページ)とのことだ。
0系新幹線とは
昭和39年(1964年)の新幹線開業と共に投入された初代新幹線だ。旧海軍の航空機のノウハウなども吸収して設計された新幹線の車体は、それまでの日本の鉄道車両にはない斬新なデザインとして登場した。東京タワーや新宿の高層ビル群などと共に、高度経済成長期の象徴の一つといっても過言ではないだろう。開業当時は、東京-大阪間を最高速度210km、3時間10分で結んだ。本形式は全部で3216両が生産されている。
なお、かつて神田にあった交通博物館には、この0系新幹線の先頭部分が展示されていた。アキバへの行き帰りの際に見かけた人も多かったのではないだろうか。
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