ウルトラテクノロジーの時代に生まれる、誰も考えなかったこと
一方で亦賀氏は、「ITの時代も変わったことを認識せよ」と言う。
「あと5年・10年かけて、地球規模のトランザクションを1つのプロセッサでまかなえる時代が来るかもしれない。実際にインテルやIBMにはそうしたことを考えている技術者たちがいる。それが100万台集まればどうなるだろうか。誰も予想ができなかった、まったく新しいビジネスができるようになるだろう。そういった“ウルトラテクノロジ”の時代に来ていることを認識するべきだ」(亦賀氏)。
重要なのは、新しい発想のためだけではない。ITをコスト削減のためのツールとのみ考えている限りは、経営側から最終的に“IT不要論”が噴出する恐れすらある。複雑化したITインフラそのものが、コストアップの主犯とされる恐れがあるからだ。「情報システム部門は、ビジネスの競争に勝つためにITのテクノロジーが必要だと言い切れないといけない」と同氏。加えて、株式市場からの要求も変わってくるかもしれないと言う。「投資家がどんなテクノロジーを使っているのか、聞いてくるようになる可能性もある」(同氏)。
「ITインフラストラクチャ」をテーマにしたイベントの開幕を飾る基調講演だけに、亦賀氏がその重要性を説くのは当然といえば当然だが、その意図はそれだけではないだろう。すでにグーグルやアマゾンのようなインターネット業界では、技術的優位性が企業としての競争優位性に繋がっている。そうした流れが、グローバル競争に参戦するあらゆる業種の企業に広がっていくとの見通しが、発言の前提にある。