「Hyper-V」は仮想化の阻害要因を解決するか
それでも、「まだまだ企業レベルでは、仮想化への理解が遅れている。広く一般に定着していないことが、仮想化の普及を阻む最大の要素」と宮原さんは指摘します。たとえば、仮想マシン上で動くアプリケーションの動作保証や、ライセンスの適用条件が不明瞭といった問題が、現実に表面化しています。
また、企業での導入で重視される導入実績も、まだまだ十分といえないため、「本当に仮想環境に移行して大丈夫なのか?」という不安も多いのだそうです。「技術的にはすでに実用段階。むしろ、社会的な認識や環境整備が遅れている。そういった意味で、現在は過渡期といえるのでは」。
ただ、こうした問題は、遠くない将来に解決するものだと宮原さんは見ています。特に注目されるのは、マイクロソフトの動き。今年夏にも正式版をリリースする、Windows Server 2008の仮想化機能「Hyper-V」によって、マイクロソフトは仮想化市場に本格進出する予定です。「マイクロソフトが仮想マシン環境を認めることで、Windowsアプリケーションを開発するサードパーティーも、仮想マシン環境をサポートせざるを得ないでしょう。おのずと、問題は解決に向かうのではないでしょうか」。
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“異なるOS環境を利用したい”というニーズに応えるコンシューマの仮想化と、“増えすぎたサーバ問題の解決”から注目されるエンタープライズの仮想化。そして、新たな分野での利用も期待されています。特に企業ユースでの本格的な普及にあたっては、まだ検討すべき課題も多いようですが、その多くのメリットから、今後のITインフラを構成するスタンダードな技術要素として広がっていくのかもしれません。