前回は、「VMware Fusion」や「Parallels」といったコンシューマレベルの仮想化について、日本仮想化技術(株)の代表取締役社長兼CEOの宮原 徹さんに伺いました。今回はこれから仮想化がどう広がっていくのか? そして、エンタープライズ、サーバレベルでは何が起こっているのか? 話を進めていきます。
これからの仮想化――広がる方向性
仮想化技術は今後、どのような形で広がっていくのでしょうか。宮原さんは3つの方向性を語ってくれました。
■仮想PC方式のシンクライアント
1つは、シンクライアントでの仮想化技術の活用。「内部統制への対応やセキュリティ対策といった観点から、分散しすぎたクライアントの集中管理の必要性が高まっています」(宮原さん)。シンクライアントにはさまざまな方式がありますが、その1つが、サーバ上で複数の仮想マシンを動作させる「仮想PC方式」です。
仮想PC方式は、アプリケーションの対応といった制限が少なく、管理者にとって他の方式に比べて理解しやすいことから、今後の普及が期待されています。実際、宮原さんが代表を務める日本仮想化技術への問い合わせでも、シンクライアントに関するものが増加しているのだそうです。
■バーチャルアプライアンス
また、「バーチャルアプライアンス」と呼ばれる使い方が定着していくかもしれません。バーチャルアプライアンスとは、OSやアプリケーションなどのソフトウェアを仮想マシン上にインストールし、それをまとめてパッケージ化したもの。個別のソフトウェアのインストールや設定が不要となるため、ハードウェアアプライアンスのような感覚ですぐにソフトウェアを導入・展開できるメリットがあります。「学校を例に考えると、学生向けに自由に触れるパソコン環境をすぐに構築できる。壊れてももう一度、バーチャルアプライアンスを展開しなおせばいいのです」(宮原さん)。
■ファームウェア化
最後は「ファームウェア化」。たとえば、携帯電話。現在、多くの携帯電話では、ユーザーによる大幅な機能追加やカスタマイズを認めていませんが、仮想化ソフトを組み込むことで、安全性を確保しながらも柔軟性を持たせられる可能性があります。「仮想マシンの単位でユーザーに開放してしまえば、ユーザーの自由度は高まります。携帯電話はもっと楽しくなるでしょう」(宮原さん)。