増えすぎたサーバ、不足する電力
ところで、前回のお話の中では、「MacでもWindowsを使いたい」「VistaでもXPを使いたい」といったユーザーのニーズをハードウェアの進化が後押ししたことで、コンシューマの世界での仮想化がブレイクした、と捉えることができました。では、エンタープライズの世界、特にサーバの仮想化がこれほどまでに盛り上がっている背景には、何があるのでしょうか。
「一番大きな理由は、間違いなくシステムの肥大化、サーバの乱立です」。宮原さんはそう説明します。
「サーバの価格が下がり、導入の敷居が低くなったことで、企業が抱えるサーバの数がどんどん増えてしまった。増えすぎたサーバの面倒を見切れなくなってしまっているのです。サーバを収容するデータセンターの物理的なスペースや電源容量の不足まで問題になっています」(宮原さん)。
電源や物理スペースの不足だけであれば、データセンターの移行やサーバマシンのリプレイスといった方策で済むかもしれません。ただ、それでは、煩雑化するサーバ管理の問題の解決にはつながりません。そこで、根本的な問題解決の方法として、「仮想化」によるサーバ1台あたりの利用率向上が注目されているのだそうです。
「例えるなら、“ガソリンがないから自動車に乗るのをやめる”ではなく、“いかにしてエネルギー効率を高めていくか?”というのが、仮想化の発想なのです」(宮原さん)。