テクスチャーを鑑賞するための「額縁」も
これらのパネルを装着する823SH側にも工夫がある。秘密は、パネルをはめる部分の周囲にある蒸着の銀色フレームだ。これが額縁のようになって、パネルの中のテクスチャーをより美しく見せる場となっている。
またほかの着せ替え端末のように、パネルが外付けですよ、とひと目でわかるような意匠になっていない。銀色のフレームの内側にパネルの爪を潜り込ませるようにして固定するので、表には一切、無駄な要素が出てこない。
こう見えても「ワカモノ」向けなんです
日本の伝統的なテクスチャーをケータイに取り入れたこれらのパネルだが、浦元氏によると、ターゲットはずばり「20代〜30代のアクティブなユーザー」、つまりワカモノ向けだという。
もちろん中高年の世代にも楽しまれるかもしれないが、純粋に「漆ってかっこいい」「友禅ってカワイイ」と直感的に感じるワカモノが積極的におしゃれに取り入れていくことを想定しているのだ。価格を見ても、高くしすぎないという点でその心意気が見て取れる。
ワカモノでも「いいな」と思ったホンモノを、ケータイに取り入れて楽しむことができる国って、ほかにあるだろうか? これだけの技術があることと、それを身近に楽しめるケータイがあることを、なんだかとても誇らしく思うのは僕だけだろうか。
以前ご紹介したamadanaケータイの記事でも「このケータイを持って世界で活躍し、家電大国ニッポンをアピールしてきて欲しい」という思いが込められていることを紹介した(関連記事)。JAPAN TEXTUREの2種類もまた、世界でクールジャパンを紹介しうる素質を持った端末といえる。
だからこそ悔やまれるのは、823SHが「世界ケータイ」ではないという点。次があるなら、国際ローミングへの対応が望まれるところだろう。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
*次回は5月15日掲載予定(次週はお休みです)
この連載の記事
-
第100回
スマホ
ケータイの“ミクロな魅力”とは、なんだったのか? -
第99回
スマホ
フォロワー計32万人の2人が語る2009年のiPhoneとメディア -
第98回
スマホ
写真で振り返るケータイ10のミクロなシーン -
第97回
スマホ
ケータイが支える、マイクロ化と遍在化するメディア -
第96回
スマホ
ノマドワークのインフラをどう整えるか? -
第95回
スマホ
冬春モデル発表会で見えた、本当に欲しいケータイ -
第94回
スマホ
デザインから考える、ケータイのこれから -
第93回
スマホ
次の自動車社会とケータイとの関係 -
第92回
スマホ
モバイルアプリを実際に作るにあたっての考察 -
第91回
スマホ
楽しい使い方は現在模索中の「セカイカメラ」 -
第90回
スマホ
iPhoneと過ごしたNYとメキシコの旅でわかったこと - この連載の一覧へ