ハウス食品 直撃インタビュー
──宇宙食を開発するに至った理由を教えてください
ハウス食品(以下、ハウス) 実験棟「きぼう」で、日本人宇宙飛行士の長期滞在(6ヵ月)が始まるのはご存じかと思いますが、それに伴い、日本人向けの宇宙食メニューの開発が必要になりました。そこでJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で研究開発することになったのです。
──数多くあるメニューの中から、なぜカレーだったのでしょうか?
ハウス カレーは栄養バランスに優れており、国民食と呼んで差し支えないほど日本人にとって身近なメニューと言えます。そんなカレーが宇宙食になれば、遠く地球を離れて長期滞在する宇宙飛行士の栄養維持、精神的ストレスの軽減などが期待できると考えたからです。ちなみに、2007年の6月に正式に宇宙食として認証されました。
──では、市販化した理由を教えてください
ハウス 宇宙は一般の方にとっては遙か彼方のお話です。しかし、宇宙食として実際に採用されているものとほぼ一緒の商品を食べることで、気軽に宇宙旅行を楽しんでいる気分になっていただければ、というコンセプトで市販化いたしました。
──他のレトルトカレーとスペースカレーの違いはどこでしょうか?
ハウス 宇宙の無重力下では味覚が鈍くなってしまうとのことから、辛めの味付けになっています。また、宇宙船内で飛び散らないようにソースの粘性を強めにしてあります。無重力や宇宙放射線の影響など、地上とは異なる環境での生活のことを考えて、カルシウムの強化、吸収促進のためビタミンDを添加、当社製品の約2倍のウコンを含ませるなど、従来の商品と違ったカレーになっています。
──「ビーフ」以外は商品化しないのでしょうか?
ハウス 宇宙食に認定されたのは、このビーフ以外にポークとチキンがあるのですが、今のところ、商品化する予定はありません。いろいろと事情はありますが、ビーフを堪能してください(笑)。商品の購入は、一部の科学館や弊社の通販サイトでできますので。
──貴重なお話、ありがとうございました