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トレンドマイクロ、東大の知力でセキュリティ機能向上を狙う

2008年01月28日 19時19分更新

文● アスキービジネス編集部

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トレンドマイクロは東京大学と情報セキュリティ分野の共同研究を行なっている。1月28日、2007年6月から2008年1月にかけて実施した「Webリンク構造解析」の研究成果を発表した。


リンクをたどるほど高まる悪性コンテンツの可能性


 東京大学産学連携本部は、「成果の見える研究」をテーマに企業と共同で研究を行なう「Proprius21」を推進している。そのプロジェクト第1弾が、トレンドマイクロと2007年6月から2008年1月にかけて共同で研究を行なった「Webリンクの構造解析」だ。

 トレンドマイクロ上席執行役員で日本代表の大三川彰彦氏は「Web上の脅威がかつての愉快犯的な性格のものから、より凶悪な犯罪へと変化している。Webページは日々300億ページが更新されていると言われており、従来のテクノロジーだけではなかなか対応できない。東大の協力を得て、Web閲覧時の危険度予測技術を向上させていきたい」と今回の調査の目的を述べる。

トレンドマイクロ 上席執行役員 日本代表 大三川 彰彦氏
トレンドマイクロ 上席執行役員 日本代表 大三川 彰彦氏

「Webリンクの構造解析」はトレンドマイクロのURLデータベースから1200万以上のWebサイトを、「旅行」や「健康」「ニュース/メディア」といった38の多様なカテゴリーに分類し、各種可視化ツールを用いて解析を行なった。さらに、トレンドマイクロの「Webコンテンツ評価データベース」からランダムで選んだ700のウェブサイトを出発点として、各ページ内のリンクを3階層先までアクセスし、有害サイトにたどり着く可能性を検証した。

 解析を担当した東京大学 情報理工学研究科 講師 増田直紀氏によると「調査の結果、安全なページからでも、リンクをたどればたどるほど有害サイトに到達する可能性は高まっていく」と述べる。たとえば、「芸術/エンターテインメント」分野のあるウェブサイトを選び、ページ内リンクに飛ぶとする。1ページ先のリンクが有害サイトの確率は0.27%。以降、2ページ先のリンクで0.68%、3ページ先のリンクで2.69%と、有害なサイトにたどり着く可能性が上昇していく。

「リンク先のカテゴリーの危険性」を表したグラフ。左に並ぶのがカテゴリー一覧。赤い色で表示されているのが「アダルト」や「違法ドラッグ」などの有害サイト。こういった有害サイトのリンク先は、同じような有害サイトにたどりつくケースが圧倒的に多い(画面クリックで拡大)
「リンク先のカテゴリーの危険性」を表したグラフ。左に並ぶのがカテゴリー一覧。赤い色で表示されているのが「アダルト」や「違法ドラッグ」などの有害サイト。こういった有害サイトのリンク先は、同じような有害サイトにたどりつくケースが圧倒的に多い(画面クリックで拡大)

 今回の「Webリンクの構造解析」について、「グローバルで共有できる優れた研究成果が上がってきたので、半年で区切らずにこれからも続けていく」と大三川氏は述べている。同氏は「共同研究は有害サイト対する検知率の向上や誤検知率の低減など、トレンドマイクロ製品の機能向上に繋げていきたい」と将来展望を述べる。

 今後、トレンドマイクロは第2、第3の新しいテーマで東大との共同研究を進めていく予定。具体的な製品開発にうまく結びつく事例が登場すれば、IT業界と東大との知の相互連携は増えていくのではないだろうか。

左から東京大学 増田氏、東京大学 産学連携本部 教授 藤田隆史氏、トレンドマイクロ 大三川氏、トレンドマイクロ 事業開発室 テクノロジーリサーチ課 テクノロジーリサーチマネージャー 近藤賢志氏
左から東京大学増田氏、東京大学 産学連携本部 教授 藤田隆史氏、トレンドマイクロ 大三川氏、トレンドマイクロ 事業開発室 テクノロジーリサーチ課 テクノロジーリサーチマネージャー 近藤賢志氏

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