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ケータイ対応が普及のカギか――ベリサイン、EV SSLの動向を解説

2007年11月19日 18時15分更新

文● アスキービジネス編集部

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日本ベリサインは、11月19日、EV SSL証明書に関する記者説明会を開いた。改めてEV SSLの概要を解説するとともに、世界における導入状況と日本の現状について紹介した。


海外ではECサイトの離脱率低下の効果も


 昨年11月に商用サービスが始まったEV SSL証明書。日本でも今年3月にいよいよ本格的なサービスが開始された。認証局の1つである米ベリサインのプロダクトマーケティング ディレクター ティム・キャラン氏は、「日本では金融業界での採用が進んでいる。それ以外にも主要な業界におけるリーダー企業で検討や採用が始まっている」と話す。

ケータイ対応が普及のカギ か――ベリサイン、EV SSLの動向...

米ベリサイン プロダクトマーケティング ディレクター ティム・キャラン氏(写真=ネットワークマガジン)

 サービス開始から1年を経た米国では、すでにさまざまな業種でEV SSLの採用が進んでおり、導入企業は、イーベイ、ペイパルなどのECサイトから、HSBC、UBSなどの金融業、さらには英国航空、アラスカ航空など幅広い。

 実際に海外ではEV SSL証明書を導入したWebサイトでの具体的な成果も出始めた。ECサイト「Overstock.com」では、顧客がショッピングカートに商品を入れてから、最終的な決済にいたるまでの離脱率を調査。EV SSL証明書の導入後には、8.6%の離脱率低下が見られたという。同様に、消費者金融の「DebtHelp.com」は、EV SSL証明書の導入によって最終的な成約率が11%向上した。

「これらの企業には、EV SSL証明書によってよいインパクトがあった。だが、消費者がインターネットに対して多くの不安を抱いている時代。この結果は何も驚くべきものではないかもしれない」(キャラン氏)。

 EV SSLは、従来に比べて、Webサイトを運営する組織の実在性確認を厳格化したSSL証明書である(ASCII.jpの関連記事)。認証局が行なうサイト運営者への審査基準を厳しく設けるとともに、認証局に対しても独自の監査を実施することで安全性を担保している。また、対応ブラウザでEV SSLを採用したWebサイトを閲覧すると、アドレスバーが緑色に変色する仕組みを持ち、ユーザーが安全なWebサイトかどうか、視覚的に把握できるのも特徴だ。

 現在の対応ブラウザは、Internet Explorer 7(IE7)のみだが、FirefoxやOperaも次期バージョンからサポートする予定。また、海外ではマイクロソフトがIE6ユーザーに対してIE7へのアップグレードを実施した際に利用者数が伸びたことから、「日本でも2008年に予定されているアップグレードのタイミングで飛躍的に対応ブラウザは増える」とキャラン氏は語った。

 ベリサインによると、現在、EV SSL証明書を採用している企業は全世界で1600社。このうち、日本は約100社が採用している。キャラン氏は、日本でのEV SSLの普及について、「携帯電話に対応することが特に重要なことだ」と話す。日本では携帯電話でインターネットにアクセスするユーザーが多く、PCと併用しているユーザーも多数存在するからだ。現在のところ、携帯電話ではアドレスバーの変色などの機能は実現できていないが、「今後、携帯電話でも視覚的な変化が見られるように、通信キャリアや端末メーカーと協議していきたい」(同社)と説明する。

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