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将来独立したい人必読! なかなか聞けない起業のホント 第6回

第6回 会社の“規模”とは、どう考えるべきものなのか

2007年08月24日 14時55分更新

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仲間と二人で起業。しかし、その仲間が2カ月後に失踪……

 大野さんは、フリーランスになった当初は起業するつもりはなかった。しかし、プロジェクトごとの仕事をこなすうちに技術に自信がつき、フリーで仕事をすることにも慣れてきたと言う。そのうえ世の中は不況になり、就職したほうが生活が安定するとも言えなくなった。そのような中、仕事の現場で知り合った技術者たちと「会社を作ろうよ」と話をするようになっていった。

「毎回、プロジェクトが立ち上がるごとに新しいメンバーでやるのは、正直に効率が悪いと感じていました。同じメンバーで仕事をすることで生産性が上がると思ったのです。当時仕事を受けていたシステム開発会社が私のことを信頼してくれていて、会社を作ればそこから継続的に仕事をもらえる感触も得られました。それで、貯めた資本金300万円を持って、『会社を作ろう』という話をしていたフリーランスのエンジニアの男性と2人で会社を作ったのです」

 こうして大野さんは有限会社アイアン・ウィルを設立した。大野さんを信頼し発足当初から仕事をくれたシステム開発会社が、通常は仕事の完成後に支払う報酬を完成前から毎月分割で支払ってくれたこともあり、当座の運転資金にも困らずに済んだ。順調なすべり出しに見えた。しかし……。

「一緒に会社を興したパートナーが、起業2カ月後に失踪してしまいました。起業の前と後の技術的なギャップにつまづいていたようでした。自分もいっぱいいっぱいで、あまり相手をできず、ある日突然連絡が取れなくなってしまったのです」

 結局、知り合いの技術者に無理をお願いして何とかその穴を埋めたという。大野さんは、今は笑って話すが「当時はショックだった」と語る。

人材と仕事のバランス。小規模企業同士の連携で対応するという工夫

 起業して6年たった現在、同社の従業員は大野さんと正社員1名、契約社員1名の計3名。設立時に助けてくれたシステム開発会社を含め、3社から請ける仕事を中心に業務をこなしてる。このような規模の会社の課題として、せっかくいい仕事の話がきたときに人手が足りなかったり、逆に、よい人材が確保できそうなのに仕事がなかったりすることがある。このような人と仕事のミスマッチについて、大野さんはどのように対策しているのだろうか。

「弊社と同じような規模の小さい会社と連絡を取り合って、人が空いているときに仕事をもらったり、仕事を請けきれないときに回すなど、助け合って対応しています。社員をどんどん増やして経営を拡大するのもありだとは思うのですが、自分のキャパシティとの折り合いなんでしょう。あまり増やすとパンクしそうな気がしています。自分が仕事に目配りしたいというか、人に任せきれない面があのだと思います」

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