基本部分を押さえることで新技術にも対応
大野さんは粛々と仕事を請けてこなしつつ、次のステップへ踏み出す機が熟すタイミングを冷静に見計らっている。次のステップとは自社商品・サービスを展開することだ。
「自社商品・サービスをやりたいという気持ちは、もともと自分の中に潜在的にあったと思います。そのためには、やはりもう少し人を増やしていきたいと考えています。どのような商品・サービスなのか、具体的にはまだ固まっていないし、時期の目途もありません。多分その時がきたら分かるのではないでしょうか」
あくまでもマイペースな大野さんだが、その目標を実現するためにも、会社が生き残らなくてはならない。そのためのセールスポイントは何か、今後のIT業界をどのように感じているのか。
「新しい技術が次々と出ていています。弊社も、お客さんの希望に応えられるように、AjaxやRuby on Rails(注1)などこれから伸びそうな新しい技術に対応しています。でも、新しい技術ができたり、開発言語が変わっても、本当に大事なことは変わらないと思っています。それは、お客さんが求めているサービスを理解して、それに適した技術を判断して開発するということ。そこをきちんとやるのが弊社のセールスポイントだと思います。この“基本をきちんとやること”は最初の就職先で身に付けたことです。中小企業の方々とお話しをしながらゼロからすべてを開発したという経験のおかげですね。嫌で嫌でたまらなかった5年間でしたが、今にしてみれば、自分にとって一番の財産です」
注1:Ruby on Rails
Ruby on Rails(ルビーオンレイルズ)はオープンソースのWebアプリケーションフレームワーク
- 大野さんが考える「起業後、会社をうまく運営していくためのポイント」
- ・自分の性格やキャパシティを客観的に見て、身の丈にあった経営を継続。無理をしすぎない
- ・人と仕事のミスマッチについては、他の小規模企業と協力して対応
- ・変わっていく技術に対応する能力は大事だが、顧客のニーズに応えるという基本を押さえることが、何より重要
- ■取材協力
- 有限会社アイアン・ウィル
第1回 “技術があるから成功する”と思うべからず
第2回 起業という孤独を乗り越えるには
第3回 出資を募るときは“自分の腹の内を見せろ?”
第4回 ITスキルゼロからIT企業設立の不退転
第5回 社内コミュニケーションの重要性と人とのつながりの大切さ
第6回 会社の“規模”とは、どう考えるべきものなのか
第7回 “競争”だけではNG。プロマネの独立に必要な「同業者同士の連携」の発想とは
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