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2007年06月08日更新

第4回 プロジェクトの経済評価モデルに関する例題を解いてみよう

公式ガイドブックだけでは不十分!? PMP資格試験対策

エンジニアを中心にIT業界で働く人々の間で、プロジェクトマネジメントの国際資格「PMP(Project Management Professional)」の受験者が急増しています。受験者の多くは、PMP資格のバイブルとも呼ばれる「PMBOKガイド」という本を中心に勉強をしていると思いますが、PMBOKガイドからそのまま出題されるのは試験問題全体の一部にすぎず、合格には“プラスα”の勉強が必要となります。そこで、本連載では、主にその“プラスα”を取り上げ、プロジェクトマネジメントとPMPへの理解が深まる「特別講義」を週1回掲載します。

本番と同じ形式の問題で、理解度をチェック!

 前回、前々回とPMBOKガイドの立上げプロセス群で紹介されているプロジェクトの経済評価モデルについて解説してきました。回収期間法、正味現在価値法(NPV法)、内部投資利益率法(IRR法)それぞれの意味と使い方をしっかり覚えているでしょうか。

 今回は、理解度を試す意味で、これらに関する例題を解いてみましょう。問題形式は、すべて本番と同じ4択です。まずは自分で答えてから、解説を読むといいでしょう。

プロジェクト投資の回収期間を求める

■例題1
プロジェクトのコストは21万ドルです。最初の1年間は四半期ごとに1万5000ドル、2年目以降は四半期ごとに2万5000ドルのキャッシュフローが見込める場合、回収期間はいくらになりますか。

A. 10ヶ月
B. 22ヶ月
C. 30ヶ月
D. 18ヶ月

ヒントヒント

 この例題は、経済評価モデルの回収期間法の理解を問う問題です。1年目と2年目以降では、キャッシュフローが異なりますので、分けて考えるといいでしょう

▲解説
 1年は、4四半期なので1年目のキャッシュフローは

1万5000ドル×4四半期=6万ドル

となります。まだまだ、回収には至りませんね。残りは

21万ドル-6万ドル=15万ドル

ですから、これを2年目以降のキャッシュフローで割れば、全額を回収できるまでの期間が求められます。

15万ドル÷2万5000ドル=6四半期

最後に単位を月に直すことを忘れないでください。1四半期は3ヶ月ですので

(4四半期+6四半期)×3ヶ月=30ヶ月

 答えは「C. 30ヶ月」となります。

ここだけはここだけは押さえる!

回収期間=投資額÷期末ごとのキャシュフロー

プロジェクトの経済的価値の優劣

■例題2
推奨するプロジェクトはどれか。

A. IRRが5%、回収期間が29ヶ月
B. 回収期間が11ヶ月、NPVが-9000ドル
C. IRRが8%、回収期間が29ヶ月
D. IRRが5%、回収期間が40ヶ月

ヒントヒント

 この例題は回収期間法、NPV法、IRR法それぞれの指標の判断基準に関する理解を問うものです。それぞれの数値の大小でプロジェクトの経済的価値に優劣をつけてください。

▲解説
 まずBは、NPV(正味現在価値)がマイナスですので、これはキャッシュフローの現在価値より投資金額が上回ってしまうということであり、選択肢から外されます。また、回収期間は、4つの選択肢の中では最も短いので勘違いしそうですが、経済評価モデルにおいてNPVがプラスになることはプロジェクトを選択する際の必須であると覚えておいてください。選択肢Bをたとえるならば、投資金額はぎりぎり回収できるものの、その後の収益のメドが立たずにNPVが赤字になってしまうプロジェクトとでもいいましょうか。

 残りのA、C、Dの中ではCが8%とIRRが最も大きく、かつ回収期間が29ヶ月と最も短いので経済的価値が高いと言えます。

 答えは「C. IRRが8%、回収期間が29ヶ月」となります。

ここだけはここだけは押さえる!

NPVがマイナスのプロジェクトは推奨しない。

プロジェクトの経済評価モデルの特徴

■例題3
プロジェクトの経済的価値について正しいのはどれか。

A. 早く売上を認識することで向上する
B. キャッシュフローの総額が同じであれば、将来にいくほど大きなキャッシュフローをもってくることで向上する
C. 銀行から低利の融資を受けて、回収期間を短縮した。
D. IRRが小さいプロジェクトほど、NPVも小さい

ヒントヒント

 この例題は、プロジェクトの経済評価モデル全体の理解度を問う問題です。観点の違う選択肢が並んでいますので、一つひとつ順番に見ていくしかありません。

▲解説
 A:現金商売でもない限り、売上が即キャッシュインフローにはなりません。しかし、手順は売上→請求→入金ですから、売上を認識して計上しないことには何も始まりません。売上の認識を急ぐことは、キャシュフローの改善につながり、回収期間法、NPV法、IRR法いずれの観点からもプロジェクトの経済的価値を向上させると言ってもいいでしょう。

 B:逆です。連載2回目で解説したキャッシュフローの時間的価値を思い出してください。遠い将来ほど割引率による低減は大きく、その現在価値は小さくなります。正しくありません。

 C:回収期間法では、回収のための原資はあくまでプロジェクトの成果によるキャッシュフローです。これも正しくありません。

 D:IRRは、キャッシュフローの規模を測れません。IRRが小さくても、キャシュフローの規模が大きければ、NPVは大きくなります。これも正しくありません。

 答えは「A. 早く売上を認識することで向上する」となります。

ここだけはここだけは押さえる!

 売上を急ぐことはキャシュフローの改善につながる


 いかがでしたか。第2回、第3回、第4回連載とプロジェクトの経済評価モデルについて解説してきました。どれもPMBOKガイド第3版には詳しく触れられてはいませんが、PMP資格試験の範囲となります。  今回、こうした経済計算をはじめて学習した方は、おそらくいくつかの疑問が生じたとか思います。そもそも、経済的価値を算出する際のパラメータとなるキャッシュフローの大きさはどのようして出すのか、またキャッシュフローが発生する期間は誰がどうやって決めるのか、割引率とは何を元にするのかなどなど。

 そのとおり、いずれも実際には大事なものばかりです。しかし、今のところPMP試験ではそこまでは求められていません。範囲となる論点と、その求められる深さを押さえておくことが合格への近道なのです。

 次回からはプロジェクトの契約について解説します。

隈元辰浩

著者 隈元辰浩
ブリスポイントネットワーク代表取締役。PMP試験対策講座や生産マネジメントゲーム研修など、プロジェクトマネジメントに関するものを中心に、さまざまなビジネス研修や講座を行なう。


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