「運営、ユーザー、コンテンツホルダーが満足できる環境を作る」
── 今回、ようやくRC版を迎えるわけですが、「こうなったらニコニコ動画は成功だ」というゴールは考えていますか?
ひろゆき氏 運営側、ユーザー、コンテンツホルダーといった、ニコニコ動画に関わっている人々が満足できる環境を作ることができれば成功です。現在は、コンテンツホルダーが微妙に満足できてないんじゃないかと思います。RC版が始まれば、ユーザーと運営側が幸せになれる状況なので、今後はコンテンツホルダーの満足度をどう解決していくかですね。
僕は結構、楽観視しているんですけど。例えば、音楽のCD売り上げが下がってきてますよね。売るためには知ってもらわなきゃいけない。そういう意味で、ニコニコ動画はコンテンツホルダーの価値に反しているわけではないので、難しいことではないと思うんですけど。
── 著作権は問題にならないと?
ひろゆき氏 ならないと思います。ただ、現段階ですべての著作権者にニコニコ動画と組むメリットを理解してもらえるとは思えませんから、理解してもらえるところと始めていくことになるのではないかと。
例えば、投稿された動画が人気を集めたとき、著作権者さんが「無許可で使われるのが嫌だから削除してほしい」と考えるのか、それとも「投稿されて多くの人に見られたというのは、ユーザーに需要があるからだ」と考えてビジネスの形に落とし込めるかどうか、という違いだと思います。
成功例がない状態でこの手の話をすると、さすがに「本当か?」と信じてもらえませんが、『レッツゴー!陰陽師』のように多少の成功例はあるので、うまくやれば花が開くかもしれません。
音楽CDが売れなくなったことに加えて、最近ではテレビの視聴時間も減っていると聞きます。人が音楽を買うときには、テレビのCMやドラマのタイアップ、有線放送などで曲を知って購買に至ることが多いですが、そうしたモノを知る場所がテレビでなくなったらどこに行くのか。雑誌も売れてないし、どこかほかのメディアに行っているのは確実です。それがネットだということです。
ここまで光ファイバーが普及している国は、日本以外にありません。ニコニコ動画はADSLの速度では不十分ですので、そういう意味で日本くらいでしか提供できないやり方ですけど。
「ユーザー数が300万人くらいになれば、話がしやすい」
編集部H 唐突ですが、ひろゆきさんはリアル・タイム・ストラテジー(RTS)ゲームが好きだと聞きました。ニコニコ動画のゴールに向かって、現在の完成度をRTSの金字塔『Age of Empires』で例えると何の時代になりますか?
ひろゆき氏 まだ8分経ってない状態ですね。“進化ボタン”を押せずに、IIの時代に進めていない。
編集部H 肉をがんばって集めている最中っていう? まだまだ序盤ですね。
ひろゆき氏 会員の有料化を始めて、ある程度お金の動きが出てきたときにコンテンツホルダーと組んで仕掛けを始めたら、“進化の準備”が整うんじゃないかと。
── すでに、コンテンツホルダーへの交渉は始めているのですか?
ひろゆき氏 ユーザーの準備ができてないので、まだです。会員数がまだ120万人しかないので、市場としては小さいと見なされてしまうと思います。だから、トラフィックの設備を増強して、なんとか300万人くらいになれば、コンテンツホルダーとも多少は話しやすくなるんじゃないかと時期を見ています。