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約1万文字のロングインタビューの続き

「ニコニコの原点は文化祭」──ひろゆき氏が語るニコニコ動画 (後編)

2007年06月20日 21時30分更新

文● 松本佳代子、編集部 広田 稔

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米国は“俺流”、日本は“職人”


── その動画でさらに“職人”を増やしているんですね。日本人には職人気質があるのでしょうか? 長年、2ちゃんねるで職人がアスキーアートを生み出す様子をご覧になってきて、どう思われますか。

ひろゆき氏 ほかの文化よりも、あるかもしれませんね。YouTubeの投稿者を見ていて思ったのは、彼らはすぐにプロになってしまうんですよ。

一方、日本人はなぜかアマチュアでいたがるようです。職業選択の自由がないのでしょうか(笑)。サラリーマンが余暇を使ってモノを作る、でも本業にしたいわけじゃないということなのか、それとも一発当てづらいのか。いずれにせよ、日本の独自文化に近いものがあるんじゃないですかね。

何のために動画を作って公開するのかという点で、YouTubeのような「俺の作品を見ろ」という“俺が俺が”タイプの投稿者は、日本にはあまりいない気がするんです。それよりも「これ面白いでしょ?」とか「面白いと思うんだけど、どう?」のように他のユーザーの反応を知りたくて動画を投稿する。ニコニコ動画はそういうコメントをしやすいし、つまらないものはつまらないときっちり言う場なので、作り手側も面白いんじゃないでしょうか。

クリエーターとしてゼロから作品を立ち上げなくても、ひとつのテーマについて映像を集めて数分に編集した“まとめ動画”とか、先ほどの“ニコニコ動画の作り方動画”のような何かを作る手順を紹介する動画とかなら、より敷居が低いと思います。そこまでユニークなアイデアでもなく、高度な技術も使っていない。でも、ユーザーから「役立った」とか「便利でした」というコメントが、ダイレクトに動画に表示される。



Forza2の“ペイント職人”はマゾ!?

Forza 2

『Forza Motorsport 2』は、Xbox 360用レースシミュレーターゲーム。秒間60フレームのリアルな走行シーンが売りだが、それとは別に一部のユーザーの間で車体のカスタムペイントが流行中だ。アニメやゲームのキャラクターをリアルに描けるユーザーは“ペイント職人”と呼ばれ、世界中のForzaユーザーから賞賛と驚嘆の声を集めている

── YouTubeに比べて、日本は作り手がとてもシャイな印象です。

ひろゆき氏 日本人は、“Produced by 誰々”というような名前を書きませんからね。YouTubeに上がっている個人の撮影動画には必ず名前があって、たいてい自分のウェブサイトのURLが付いているんです。

ニコニコ動画でそれをやっている人は、ほとんど見たことがない。作品を名前に帰属させる必要性を感じていないんじゃないですか。先ほども触れたように、YouTubeに上げる人はあわよくばプロになりたい、という願望があると思いますが、ニコニコ動画の投稿者は、そうした気持ちがないのかもしれません。


編集部H 一部の作り込まれた動画を見ていると、日本人は本当に単純作業などの苦痛に耐えて作品を仕上げて、認めてもらうというのが大好きなんだなと感じます。例えば、3和音で音色やオクターブも限られている『マリオペイント』の中で、いかに名曲を再現するかとか。

ひろゆき氏 xbox 360の『Forza Motorsport 2』(フォルツァ モータースポーツ2)というレースゲームにおける車体ペイントもよくできていますね(関連記事)。Forza2の車体ペイント機能は、機能は○や△などのステッカーを貼っていくだけという単純なものなんです。

本来、線はまったく描けないはずなのに、ステッカーのサイズをものすごく小さくして並べると線っぽくなる。色も限られているんだけど、色の付いた丸いステッカーを散りばめていくと、塗ったように見える。そんな、やり方で緻密なアニメキャラの絵を完成させたりしているんです。

私も最初は何が面白いのか理解できなかったんですよ。元々、そういうアニメ絵の車があるんだと思っていた。そうしたら作り方の動画が投稿されていて、1個1個、ちまちまと手動でやっていたことが分かった。その作業を3000回やりましたとか、8時間かかりましたとか。マゾなんですかねー

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