新サービスの発表に伴い、米Amazon.com社の創業者兼CEOジェフ・ベゾス氏が来日した。サービスの詳細に関しては、すでに記事にしているが、ここでは世界一有名なオンラインコマースサイトを作り上げた、同氏の人物像に迫ってみよう。(関連記事)
楽しいことをやる、それが成功の秘訣
──発表会は新サービスの“Amazon プライム”に関するものでしたが、メディアの注目はやはり創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏が日本に来て何を話すのかというところでしょうか。
そうですね。そのへんは私も関心がありました。質疑応答で、グーグルゾンの話を振っている記者もいましたが、彼はそのへんあまりピンときていない感じでした。そういう見方をする人もいるだろうが、自分にはあまり関心がないというか。
──いろいろな意見はあるが、われ関せずという感じでしょうか。
10年後の未来を夢想するよりは、今やるべきことをきっちりやるタイプに感じましたね。そういう意味では実直なんだけど、堅苦しくはない。発言もウィットに飛んだ感じで飽きさせない。「無制限で使い放題」を「All you can eat」とか、「今後ともよろしく」と言う意味で「Stay tune」(チャンネルはそのままで)って言葉を使ったり。質問には即答する頭の回転のは速さを見せる一方で、答えられない質問には、聞かれていることに近いものかどうかは分らないが、努力して答えるといった誠実さも見せていました。
──印象としては、どうでしたか?
私はよい印象を持ちました。「Amazonはまだまだ伸びるな」と感じさせるものがありました。というのは、ビジネスに対する熱意とか、彼がネットビジネスをはじめたときのパッションがまだ残っているように思えたからです。Amazonを始めたのは、自分がパソコン好きだったからと話していましたが、10年経ってもその熱意を維持できている。
彼は、民間宇宙開発企業のBlue Origin社を設立して、低価格の宇宙旅行の実現にも取り組んでいるのですが、これも5歳のときからの夢だったとか。質疑応答でも、自分はコンピューターが好きだったから、Amazonを始めたけど、好きなことをやることが、一番エネルギーを注げるし、成功もしやすいと話していました。
──そういう人柄が現れてくるスピーチだったと。
そうですね。彼が“お客さんに一番でいたい”とAmazonの理想を話すときは、言葉もスムーズで、作った言葉ではない気がしました。ビジネスを始めるかどうかは「お金がもうかるかどうかではない」というところも熱く語っていました。