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中国IT小話――人民解放軍、御用達のOS! その名は「麒麟」です!?

2007年05月18日 23時00分更新

文● 山谷剛史

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そんな麒麟をインストールしてみた


 麒麟は、人民解放軍が使うOSではあるが、一般人でも入手できる。

 これは情報漏えいでもなんでもなく、麒麟オフィシャルページの“下載”(ダウンロード)ページから、ISOイメージが落とせるのである。

 このページには“KYLIN-2.1-1A.iso”“KYLIN-2.1-1B.iso”という2つのファイルがあるが、麒麟はCD2枚組で、前者がディスク1、後者がディスク2となる。ページには説明書きがなく、筆者は後者のファイルが最新バージョンだと思って何度もインストールを試してしまった。

 中国ではウェブサイトの説明(というよりも基本的にサービス全般)が、日本ほど丁寧ではないので、読者の皆さんは気をつけたし。何だか謎のベールに包まれた言葉の壁を越えてダウンロードし、インストールしてみた。

インストール(1)

インストールを開始。麒麟はKylinと読むのだそうだ

 ちなみに“KYLIN手冊”というところに、説明書のファイルも置かれている。しかし、いずれもgz形式で提供されており、Linuxなどを触ったことがない人は、かなり高いハードルを越えなければいけない。そのためか、ダウンロード数もそれほど多くはない(ファイルによって違うものの数千から数万程度だ)。インストールの仕方や利用方法など利用者による情報交換は、主にオフィシャルページの“BBS”(麒麟論壇)で行なわれている。製品紹介を行なっているメディアもあるが、インストール方法を紹介するメディアや、麒麟を扱った個人ブログなどはごくわずかである。

インストール(2)

Linuxなどで見るようなインストーラが立ち上がる

インストール(3)

「MachカーネルにBSDの類を利用し、Windowsのデスクトップ環境で、かつLinuxと互換性を持たせた」と書いてある

インストール(4)

「「公安部のコンピュータ情報システム云々のチェックにも通過、人民解放軍情報安全テストでにB+級の安全認証を受けたOS」と書いてある

インストール(5)

国際主流のUNIX OSの標準に準拠し、LSB1.3にも準じ、Linux利用者向けの環境も整えた」と書いてある

 インストール中には、麒麟についてのさまざまな紹介が出る。これをまとめると、麒麟とは「BSD系列のシステムをベースにしたOS」で、かつ「Linuxのソフトを導入しやすくしたOS」であることが分かる。具体的には、「MachカーネルにFreeBSDの環境を組み合わせたDarwinのようなもの」を、Linuxの各ディストリビューションが共通に備えるべき機能を定めた「LSB(Linux Standard Base)に準じた仕様としたOS」のようだ。本来LSBはLinuxのディストリビューション向けのため、Linux以外でのLSBを採用したOSは麒麟が初めてなんだとか。

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