そんな麒麟をインストールしてみた
麒麟は、人民解放軍が使うOSではあるが、一般人でも入手できる。
これは情報漏えいでもなんでもなく、麒麟オフィシャルページの“下載”(ダウンロード)ページから、ISOイメージが落とせるのである。
このページには“KYLIN-2.1-1A.iso”“KYLIN-2.1-1B.iso”という2つのファイルがあるが、麒麟はCD2枚組で、前者がディスク1、後者がディスク2となる。ページには説明書きがなく、筆者は後者のファイルが最新バージョンだと思って何度もインストールを試してしまった。
中国ではウェブサイトの説明(というよりも基本的にサービス全般)が、日本ほど丁寧ではないので、読者の皆さんは気をつけたし。何だか謎のベールに包まれた言葉の壁を越えてダウンロードし、インストールしてみた。
ちなみに“KYLIN手冊”というところに、説明書のファイルも置かれている。しかし、いずれもgz形式で提供されており、Linuxなどを触ったことがない人は、かなり高いハードルを越えなければいけない。そのためか、ダウンロード数もそれほど多くはない(ファイルによって違うものの数千から数万程度だ)。インストールの仕方や利用方法など利用者による情報交換は、主にオフィシャルページの“BBS”(麒麟論壇)で行なわれている。製品紹介を行なっているメディアもあるが、インストール方法を紹介するメディアや、麒麟を扱った個人ブログなどはごくわずかである。
インストール中には、麒麟についてのさまざまな紹介が出る。これをまとめると、麒麟とは「BSD系列のシステムをベースにしたOS」で、かつ「Linuxのソフトを導入しやすくしたOS」であることが分かる。具体的には、「MachカーネルにFreeBSDの環境を組み合わせたDarwinのようなもの」を、Linuxの各ディストリビューションが共通に備えるべき機能を定めた「LSB(Linux Standard Base)に準じた仕様としたOS」のようだ。本来LSBはLinuxのディストリビューション向けのため、Linux以外でのLSBを採用したOSは麒麟が初めてなんだとか。
