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中国IT小話──メーカーPCよりも自作PCが大人気なデスクトップPC事情

2007年05月28日 18時00分更新

文● 山谷剛史

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 中国の電脳街は日本の電気街とは違う雰囲気がある。行ってみると実に面白い。中国の電脳街はどこの100万人都市にも必ずあるが、どれもここ数年来変わらず、たくさんの客で賑わっている。秋葉原や日本橋でのパソコンショップの勢いがなくなっているのとは対照的だ。

中国の電脳街。こんな風景を100万人以上の都市では、どこでも見ることができる

 中国の元気な電脳街を日本の電気街と見比べると、いくつか異なる部分が見えてくる。まずレノボならレノボの、ソニーならソニーのといった感じで、決まった代理店でパソコンが販売されていること。次にそういったメーカー製パソコンの販売店以上に、ショップブランドパソコンを販売するパーツショップが多いということ。さらにはパーツショップの客はいかにもパソコン好きな男性だけではなく、カップルも多く、真剣にパーツ選びに悩んでいる――といった具合だ。中国の電脳街を歩くと、中国で自作をする層はきわめて広く、市場もとても元気であると言う点がうかがえる。



安さだけではない、自作を選ぶ理由


 それでは、なぜ自作が人気なのだろうか? 中国のITサイトでは5本の指に入り、“Alexa”のランキングでも200位以内に入る“中関村在線”(中文サイト)が14日に発表した調査を見てみよう。中関村は北京にある中国最大の電脳街兼学研地域。在線はオンラインの意味だ。

 「デスクトップパソコンを購入するとき、自作パソコンとメーカー製パソコンのどちらを選ぶか?」という質問に対しては、自作パソコンが67.5%、メーカー製パソコンが32.5%と、自作パソコンが上回った。

 一方「値段と性能が同じ場合、デスクトップパソコンと自作パソコンのどちらを選ぶか?」という質問に対しては、メーカー製パソコンが74.4%、自作パソコンが25.6%。ということは、“安いから自作と考えているのだろうか? 実はそうでもないようだ。

スタイリッシュなメーカー製パソコンと言うのは意外に少ない。この点が自作が受けている理由のひとつだ(写真はVAIOのボードPC)

 「なぜ自作パソコンを購入したのか?」という質問の回答には「(店側の)サービスがいいから。便利だから。購入後はサポートが必要ないから」(53.3%)といったサポートに関する利点を挙げる声ががもっとも多く、それに「クオリティが良く、値段が安いから」(47.4%)など、値段とクオリティーのバランスの良さを挙げる声が続く。「作業がいい。自作パソコンはきれい。自分だけのスペックのパソコンができるから」(39.0%)と自作そのものの楽しさを挙げる声は、3番目となった。

 また、同じ「なぜ自作PCを購入したのか?」という質問の回答で「安いから」「自由にパーツを選べる。自分だけのPCができるから」「アップグレードが簡単だから」という3つの選択肢を与えたところ、「自由にパーツを選べる。自分だけのPCができるから」が72.9%、「安いから」が58%、「アップグレードが簡単だから」が49.1%となった。

 意外にも“安い”ことが、自作パソコンを選ぶ、最大の理由にはなっていない。筆者なりに分析すると、中国のメーカー製パソコンはノートパソコンはもちろん、デスクトップパソコンですら汎用的なパーツを組み合わせた自作パソコンと変わらないものがほとんどだ。

 例外はソニーなど日本メーカーのパソコンだけである。中国のレノボのラインアップから誕生した“Lenovo 3000”シリーズでも、中国では凝った作りといえばイメージしやすいだろうか。そんな環境から「メーカー製パソコンと自作パソコンは機能的には大差ない」というイメージを持っている中国人は多いのだろう。これが「サービスがいいから自作」「自由にパーツが選べるから自作」という考えに結びついたと思われる。

Lenovoのコンシューマー向け製品である『家悦』(左)とLenovo 3000のベースとなったビジネス向けの『揚天』(右)

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