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リンデン・ラボ訪問記

社内にはビリヤード場、「週に1度はセカンドライフ」が社則

2007年04月29日 00時00分更新

文● 遠竹智寿子

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 もうひとつ、セカンドライフが大いに参考にしたものがある。

 米国ネバダ州で毎年8月末から1週間かけて行なわれる、全員参加型の巨大アートフェスティバル“バーニングマンプロジェクト”である。砂漠の中で繰り広げられるクリエーター集団のものづくりや展示の様子は、まさしくセカンドライフ内で日々繰り広げられている光景そのものである。

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受付の横に掛けてある大きめのホワイトボード。世界中からセカンドライフのレジデントたちが立ち寄り、アバター名をサインしていくのだという

 そして、2002年には、都市経営シミュレーションゲーム『Sim City』(シム・シティ)で知られる米MAXIS社の副社長を務めたロビン・ハーパー氏(女性)が、リンデン・ラボに入社し、副社長を務めている。



当初はクリエーター中心だったが──


――ユーザの移り変わりのようなものは感じましたか。

キャサリン 当初は、中で活動する97%が『Photoshop』を使っている人たちでした。このことからも分かるように、主にクリエーターやテクノロジーに長けた人々が、オープンソース的な取り組みを地道に続けていたのです。メディアが取り上げるようになって、いわゆる一般の参加者たちが増えたのは確かです。今では、教育関係者や科学者といったスペシャリストなど、実にさまざまな分野の人たちが参加しています。ビジネスで言えば、企業が参加するだけではなく、消費者側もものづくりやイベントの企画に加わることができるといった側面もあるわけですから、これからいろいろなことが起こってくると思います。

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入り口の近くに置かれていたマシン。「たぶん、サーバ1号だと思うけど」とキャサリン

――セカンドライフをバーチャルゲームの一種だと思っている人もいます。また、競合をどう考えていますか?

キャサリン まだセカンドライフの中に入ったことのない人に、それを説明するのはむずかしいこともありますね。これまでのゲームとは、まったく違うものですから。私たちリンデン・ラボが提供するものは、単なる環境で、そのコンテンツはユーザ自身が作り上げていくものです。毎日、コンテンツが変化し続けていく、ユーザ側が作りたいと思ったものは何でも作れる、そのような世界が今まであったでしょうか? セカンドライフは、ワールドであり、プラットフォームでもあるということです。グラフィックスや機能という点では、優れたゲームコンテンツはもちろんありますが、セカンドライフのコミュニティーの育ち方やプロジェクト発達の流れを見る限り、今はまだ競合とはっきり呼べるところはないと思っています。

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リンデン・ラボとセカンドライフの名を一躍広めた『BusinessWeek』誌の表紙がポスターになって張られている

――現状での問題点はありますか。

キャサリン そうですね。もちろんいくつかあると思っています。例えば、オリエンテーションランド*に飛び、1時間うろうろしたまま途方にくれる人もいる。せっかく世界中の人と接することのできる環境ですから、自国とは異なる国のエリアにポンと飛んでも、誰もがそこでうまくコネクションできるようなしくみが必要だと感じています。アダルトコンテンツなどの問題については、法律にのっとった形でなければいけません。しかしながら、リンデン・ラボが必要以上に制するということはしていません。セカンドライフは18歳以上を対象にしたコンテンツであること。またアダルトコンテンツを含むか否かで、“PG”(Parental Guidance:未成年者向け)と“Mature”(大人向け)という2つの地域に分けています。そこに足を踏み入れるのも入れないのも、ユーザー次第です。こうした問題が取りざたされるのは、インターネット時代の初期のころと同じで、自然淘汰されながら、整備されていくものだと思っています。

*セカンドライフに参加するとまず最初に飛ばされる場所。ここで基本的な操作方法を学べる。

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