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「CRMをERPよりも大きくしたい」――日本オラクル、「Siebel CRM 8.0」の記者説明会を開催

2007年02月16日 18時30分更新

文● アスキービジネス編集部

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日本オラクルは、2月16日、同社東京本社で統合CRMアプリケーションスイート「Siebel CRM 8.0」に関する記者説明会を開いた。1月31日(現地時間)に米オラクルが発表した内容を踏まえたもので、およそ2年ぶりのメジャーバージョンアップとなる新版の機能詳細が明かされた。


もう操作に迷わない? タスクベースのUIに刷新された新しいSiebel


 「CRMの市場をERPよりも大きな成長市場に広げていきたい」。日本オラクル執行役員アプリケーションマーケティング本部長の藤本寛氏は強い意欲を示した。その理由は、CRMがERPに比べてより業務の現場に密着した製品であり、業務効率化と業績向上に直結しているからだ。

日本オラクル アプリケーションマーケティング本部CRM&SMEビジネス推進部ディレクター 塚越秀吉氏

日本オラクル アプリケーションマーケティング本部CRM&SMEビジネス推進部ディレクター 塚越秀吉氏

 だが一方で、CRMは「“使いづらくて使えない”と言われてきた」(日本オラクルインフォメーションシステムズのCRM SC部セールスコンスルティングディレクター 根岸 大氏)分野でもあり、導入に失敗するケースも少なくない。CRM&SMEビジネス推進部ディレクターの塚越秀吉氏は、「トップの参画・現場への周知不足」「入力されない=信頼性の低いデータしか溜まらない」ことが導入失敗の背景にあると分析する。

 そこで、オラクルとシーベルの統合後、初のメジャーバージョンアップとなる「Siebel CRM 8.0」(Siebel 8)では、366カ所にもおよぶ機能強化を実施。「CRM導入への2つの壁をブレイクする仕組みを入れた」(塚越氏)。

 最大のポイントは、新たに「タスクベース・ユーザーインターフェイス」を採用し、使い勝手を大幅に向上させたことだ。Siebel 8では、画面左側に関連するタスクが表示され、業務プロセスに沿ってステップバイステップでデータを入力できるようにした。たとえば、商談関連タスクを選択すると、新規の商談か否かを確認するメッセージが表示される。このときの選択次第で、新規の商談の作成画面か既存の商談の更新画面に分岐する――といった具合だ。

Siebel 8で採用されたタスクベースのUI。左側に表示されるタスクを選択すると、次のタスクを選択する画面が表示される(右)

 これにより、「特に50代以上の営業担当者など、PCに不慣れなエンドユーザーはどこから手をつけていいのか分からず、結果としてデータの未入力につながっていた」(根岸氏)状況の改善につなげることができる。さらに、このとき表示するタスクは必要に応じて導入企業が変更できるため、業務プロセスの見直し時にかかるシステム改修のコストを削減できるのもメリットだという。

 また、Siebel 8は、今回のバージョンから「Oracle Fusion Middleware」への対応を表明、“SOA対応CRM”を打ち出している。Webサービスを大幅に拡充したことで他のシステムとの連携が容易になっており、Siebel 8自体にもESP製品「Oracle Secure Enterprise Search 10g」がWebサービスによって実装されている。「Siebelをサービスのひとつとして、システムに組み込んで利用できるようになった」(塚越氏)。

日本オラクル執行役員アプリケーションマーケティング本部長 藤本 寛氏

日本オラクル執行役員アプリケーションマーケティング本部長 藤本 寛氏

 そのほか、「Sales」「Field Service」「Marketing」などの共通機能と業界別ソリューションの拡充を実現。自社のWebサイトに埋め込めるオーダー機能や、利用料金の履歴を顧客自身がWeb上で確認できる「Self-Service eBilling」など、インターネットチャネルへの対応も充実させた。加えて、Outlook/Word/ExcelへのSiebel 8のデータの差し込みや履歴の記録など、マイクロソフト製品との連携を強化している。

 藤本氏は、こうした新機能の方向性について、「従来の履歴管理中心のCRMから、顧客の動き・変化に対応するCRMとなった」と説明。「顧客管理ソフトから他のシステムと連携する『顧客戦略の基盤』として、変化を見方にして勝つためのソリューションを提供する」とまとめた。

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