日本オラクルは8月20日、SaaS型CRMアプリケーションの最新版として「Oracle Siebel CRM On Demand Release 14」の提供を開始した。同日、プレス向け説明会を開き、発表した。
新機能は100以上、新しいマルチテナント環境も用意
発表会に登壇した日本オラクル執行役員 アプリケーションビジネス推進本部長の藤本 寛氏は、同社の戦略として「選択」を掲げた。同氏は「従来ソフトウェア・ベンダーは“1製品、1ソリューション”にこだわっていたが、オラクルは1社で複数の選択肢を提供する」とし、従来型のライセンス販売やホスティング型サービス、SaaS型サービスなど、さまざまな形態を並列的に提供し続ける戦略であることを強調した。

日本オラクル執行役員 アプリケーションビジネス推進本部長の藤本 寛氏
発表されたSaaS型「Oracle Siebel CRM On Demand Release 14」の新機能は100以上に上るが、SaaS型サービスであるため既存ユーザーは特に移行作業は必要なく、同日から新バージョンを使い始めることができる。今回のバージョンアップでのポイントは、「ユーザビリティの向上」「アプリケーション統合の実現」「システム運用環境の拡充」の3点である。
ユーザビリティの向上では、従来のWebアプリケーションの使いにくさをAjax/Web 2.0技術の導入で解消を図ったことがポイント。インライン・エディットの実現やカスケード・ピックリスト(選択したプルダウンの親項目によって子項目を変更する機能)の採用など、ユーザーが最小限のマウスクリックで必要な処理を実行できるよう配慮された。
アプリケーション統合では、先日発表された同社の「アプリケーション統合アーキテクチャ(AIA)」(関連記事)の技術を利用。SaaS型CRMと企業内のバックエンドのERPアプリケーション(Oracle E-Business Suiteなど)との間で、リアルタイムのプロセス統合を実現している。
システム運用環境の拡充では、同社が「セキュア・マルチテナント」と呼ぶ、新しいアーキテクチャに基づくマルチテナント環境を用意した。同方式は、ユーザーごとに独立したハードウェア環境を割り当てつつ、同社のグリッド技術でこれを統合。シングル・インスタンスに見せることで運用管理負担を低減する、というもの。
従来のマルチテナント環境では不可能だったユーザーごとの個別チューニングなどを実現しながら、運用管理負担を減らすことでコストを削減し、低料金を可能にしたという。なお、同方式は「プライベートエディション」として、基本サービスとは別メニュー(米ドルで125ドル相当の予定)で提供される。
Siebel CRM On Demand Release 14は、1ユーザーから利用可能で、ユーザー当たりの月額料金は8750円。動作環境は、Internet Explorer Version 6.0以上となる。
併せて日本オラクルは同日、国内でのユーザー企業の例として、新たにRelease 14からJALホテルズが採用を決めたことも公表している。
