働き方・仕事についてのお悩み、募集しています!
「こんな働き方はもう嫌だ」「もっとこんな仕事がしたい」。
誰かに聞いてほしい、でも近しい人にこそ言いにくい仕事の悩み。この連載では、そんなお悩みの解決の糸口を一緒に考えていきます。
何か困っていることや考えていることがあれば、こちらまで気軽にメッセージください! 匿名のメッセージも、もちろん大丈夫です。
今回のお悩みは「転職、パートナーブロック」について
ASCII読者の皆さん、こんにちは!正能茉優です。
この連載「お仕事悩み、一緒に考えます。」では、今月も、読者の皆さまからいただいたお仕事に関するお悩みについて、一緒に考えていきます。
今月のテーマは、いわゆる「転職、パートナーブロック」について。
自身のキャリア、そして今後の家族のあり方も考え、転職をしようとしているものの、パートナーとの折り合いがなかなかつかないという同世代の男性からお便りをいただきました。
いわゆる「パートナーブロック」で、転職ができない状況です
こんにちは。私は今、俗に言う「パートナーブロック」で転職が決め切れず、悩んでいます。
まずは状況のお伝えとともに、少し自己紹介をさせてください。
自己紹介
・31歳
・2歳の息子と、7ヵ月の娘がいる2児の父親
・妻も、同じく31歳。現在は産育休中だが、2人目の産育休前は、週3日リモートワーク・週2日出社で時短勤務。ただ仕事・職場は好きなようで、今後も仕事は続けたい意向
仕事
・現職は小規模のベンチャーで営業の管理職。成果主義なので月末等は業務が逼迫するタイミングもあるが、時間や出社の縛りはほぼない。客先に行くことは多々あり
・転職予定の会社は大企業の同職種の管理職。これまでと同じく成果主義ではあるが、大企業のため研修やキックオフなどもそれなりにあり、今よりも物理的な出社や時間等の縛りはありそう。ただし50万円程度の年収アップも見込める
転職歴と今の状況
・これまでも私は自身のキャリアアップ(年収アップと、スキル伸長)を目的に、2回転職をしてきており、今の会社は3社目
・今回の転職の目的は、自身のキャリアアップに加え、2人目の子が生まれ、今後お金がかかってきそうなこと
・妻とは前回の転職時すでに結婚していたが、そのときには「年収が下がらなければ、転職は問題ない」と言っていた。今回は年収も上がるし、家族のことを思っての転職なのに、なぜか「不安だから、今のままでいい」と言われている
……と少し長くなってしまいましたが、こんな状況です。
もしも妻が同じことを私に言ってきたら、自分はどうするだろうか? とも考えたのですが、給料も上がるし、これまでと働き方もそこまで変わらなそうだし、何より妻本人の希望だしということで自分は後押しすると思います。不安な理由がわかりません。
とはいえ、妻の気持ちを理解しきれないままに、転職することはすべきではないと思いますし、ただ不安の理由がいまいちわからないため、手詰まりの状況です。
この件、正能さんだったらどのように考えられますか?
正能さんにも小さなお子さんがいらっしゃると思うのですが、夫の給料が上がるのはうれしいものではないでしょうか?一当事者として、教えてもらえると助かります。
(コウジさん・31歳・会社員)
仕事をしている自分、母の自分、妻の自分……女性にはたくさんの自分がいます
はじめまして。お便り、拝見しました。
パートナーさんが何を気にしているのかは、パートナーさんご本人にしかわからないので、対話をして、ご夫婦にとって、家族にとって、幸せな選択をしてほしいという前置きはさせていただいた上でなのですが。
ただ、小さなお子さんが1人いらっしゃる今の状況を考えると、なかなか夫婦でじっくり話す時間もつくりにくいと思いますし、パートナーさんとの対話のきっかけになりそうなことをお伝えできればという趣旨で、今回は一緒に考えさせてください。
今回のお悩みを考えるにあたり鍵となりそうな、コウジさん家族と我が家の共通点をお伝えさせていただくと、「夫婦共働きで、妻は仕事が好き。手も目も離せない小さな子がいる(ただ我が家の場合は1人ですが)」といったあたりかなと考えています。
この状況の難しさは、パートナーさんも私も、何人もの自分を、日々自分の中に抱えていることに由来しているのではないかなとまず思いました。
「小さな子を持ち日々寝不足でもどうにか毎日を回している母親」も自分であり、「仕事や職場が好きで働きたいと思っている一社会人」もまた自分であり。
同じ“友達”といたって、ママ友といるときは母親だけど、昔からの友人といるときは何者でもない自分で、会社の仲良しとランチしているときは社会人の自分で……と1日・1週間の中で、何度も何度も、いろんな自分に切り替わっていく生活はもちろん楽しいときもありますが、結構苦しいときもあるのです。
この「いろんな自分に切り替わっていく生活」は、子がいようがいまいがあるもの。
ただ、子が生まれて大きく変わったことの一つに、自分ではコントロールできない時間の奪い合い・食い合いが発生するので「一社会人としての自分はああしたいのに、でも母親としての自分はこうする必要がある」といった折り合いのつかなさを、常に胸に抱えて日々を過ごすようになったということがあります。
「働く自分」も「母としての自分」も応援できる。でも「母であり働く自分」としては……!?
この前提に立って、自分の夫が、コウジさんと同じように転職をしようとしていたら……と考えてみたのですが、正直、
・子が生まれる前までの一社会人としての自分は、応援できる
・母親としての自分も、応援できる
・でも子を持つ一社会人としての自分は、不安に思ってしまう
と思いました。
それぞれの立場であれば応援できるけれど、それらがand条件になると、手放しで応援はできないという状況です。
もう少し、深掘ってみます。
まず子が生まれる前までの一社会人としての自分は、年収アップとスキル伸長、さらには時間の使い方がそこまで大きくは変わらないであろうパートナーの転職を、もちろん応援できると思います。
また、母親としての自分も、家族のために年収を上げようとしてくれていること自体が心強くてうれしく思えるし、それが本当に上がるということならなおのこと嬉しいはずです。さらには、「好きな仕事をしている、かっこいいお父さんだと素敵だろうな」と思ったりもして、転職を後押しするかなと想像しました。
ただ、ここで引っかかるのが、子を持つ一社会人としての自分のこと。
あくまでも想像ですが、コウジさんと同じことを自分の夫に言われたら、「今よりも少しでも物理的な出社や時間の縛りが増える可能性があるってことは、じゃあ、私の仕事ってどうなっちゃうの?」と、少なくとも私は不安に思いました。
例えば我が家の場合、最近は、夕方18時から20時の、「子をお風呂に入れる→食事を用意する→食べさせる→眠くなるまで遊ばせる→授乳→寝かしつけ」という寝る前ルーティンは夫婦でする日がほとんどです。
ただ時折、夫婦どちらかの仕事の都合でワンオペが発生する時があるのですが、この日はマジでやばい。
眠くて遊びたくて大号泣する子をそれなりにいなして、寝かしつけるわけなのですが、この2時間に全ての気力と体力が持っていかれて、夜に仕事をするパワーがなくなります。(苦笑)
もちろん望んで子を持つ親になったわけなので、決してやめたいというわけではないのですが、「ああああ、疲れた!!!」と叫びたくなるほどに疲れる。
そうなると、万が一仕事で緊急事態が発生しても、夜に自分の仕事をするパワーはないし、仕事の考え事すらしたくない状況になってしまうのが、ワンオペの日の私の正直な状況です。
お恥ずかしながら子1人でもこの状況なので、2人だったらと思うと、それはそれは大変なのではないでしょうか。
私の場合、もしもこの夜のタイミングに夫がいない日が1日でも増えるなら、転職はしないでほしいと思ってしまうような気がします。
話のきっかけは「どの自分だと不安なのか?」
この連載の記事
- 第319回 歌声合成ソフト「UTAU」でオリジナルキャラを歌わせてみた
- 第318回 DTM勢がAIで作曲したら、AIの得意分野と苦手分野が見えてきた
- 第317回 ものづくり版コミケ「Makerフェア」2024年は面白かった。出展者の世代交代もなされているように見えた
- 第315回 0歳児、いつから保育園に? 女性の働き方、とことん考えてみました
- 第315回 推しの細胞がついた指輪を作ってもらった
- 第314回 おしゃれすぎるファン付きウェアを買って重要な問題に気付いた
- 第313回 0歳児がいながら、働く。ベストなやり方は?
- 第311回 YouTubeの再生を止めないために画面を自動でタップする機械を作った
- 第310回 地方に移住したいが、東京にとどまるべきか
- この連載の一覧へ