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ASCII Power Review 第203回

競争激しい自動認識AFの効きは!?

キヤノン「EOS R8」実機レビュー = 超小型軽量のフルサイズカメラの実力チェック

2023年03月21日 13時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 キヤノンからフルサイズミラーレスの新製品「EOS R8」が発表された。

 従来のエントリーモデル「EOS RP」を踏襲した筐体から後継機かと思われたが、それにしてはボディーのみで26万4000円と、「RP」の2倍の価格差があるのが気になるところ。果たして見合った実力を備えているのかチェックしてみたい。

4月下旬発売予定で量販店価格はボディーのみ26万4000円。写真の「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」とのレンズキットは29万3700円。

超小型軽量を目指した
フルサイズミラーレスカメラなのだ

 手にしてまず感じるのがボディーの軽さ。もともと小型軽量だった「RP」よりさらに24g軽い約461gで、EVFを搭載した現行フルサイズ機では最軽量。肥大化傾向のフルサイズミラーレスのなかで、この小型軽量ボディーはうれしいかぎりだ。

ボディーサイズは132.5(W)×86.1(H)×70.0(D)mm。重量はメディア・バッテリー込み約461g。

 スリムなボディーと細身で握りやすいグリップにくわえ、シャッターボタンの位置が少し傾斜する形状に改良され、おかげで手によくなじみ、ホールド感は抜群だ。

 ボディーがコンパクトなぶん、手が大きい人では小指が余るかもしれないが、別売で延長グリップ「EG-E1」(実売価格8220円)もアクセサリーとして用意されている。

上面から見るとボディーのスリムさがわかる。細身のグリップとあわせ構えやすい。

グリップ部のシャッターボタンの角度も改良。少しの違いだが、これだけでホールド感は格段に向上した。

 操作ボタン類の配置は電源スイッチが右後方コマンドダイヤル周りに移動し、左肩は「静止画/動画」スイッチに変更された。またホットシューは各種アクセサリーとの通信と給電が可能な「マルチアクセサリーシュー」になるなど最新の「EOS R」シリーズと同等に改良されている。

電源スイッチは右手だけで操作ができるよう、右後方コマンドダイヤル周りに移動。

かつての電源スイッチがあった位置は「静止画/動画」スイッチに変更された。

「EOS R」シリーズではお馴染みとなったマルチアクセサリーシューも搭載。ストロボ以外にマイクやスマホとリンクできるアクセサリーなどが装着できる。

 背面の操作系や側面端子などは「RP」と同じ。測距点移動をおこなう「マルチセレクター」は搭載されていないが、ボディーが小柄なぶん背面液晶をなぞって測距点の移動ができる「タッチ&ドラッグAF」が使いやすく(大柄なボディーでは背面液晶まで指が届きにくいことがあるので……)、慣れれば「マルチセレクター」よりスムーズに操作できた。

操作ボタン類の配置は「RP」から変更なし。背面液晶は104万ドットから162万ドットに向上している。

端子の配置も同じだが、USB-Cは別売のUSB電源アダプター 「PD-E1」(1万1600円)を使用して給電が可能になった。

「タッチ&ドラッグAF」の設定画面。位置指定方法やタッチ領域が自分の使いやすいように変更できる。

 EVFも変わらず 236万ドット倍率約0.7倍と今時では少し控えめ。だが実際に撮影していて特に視認性に不満を感じることはなかった。

AF速度と精度の高さ
認識AFは最新モデルならでは

 ボディー周りだけみると、改良点はあるものの正直「RP」との違いはわずか。しかし最大の進化は上位モデル「EOS R6 MarkⅡ」と同等のAFや連写速度を備えている点だろう。

 AFモードSERVO(AF-C)では合焦後に自動的に、ONE SHOT(AF-S)では「全域トラッキング開始/停止」機能により、測距点が被写体を追尾するトッキングAFが秀逸である。

SERVO(AF-C)ではシャッター半押し(もしくはAF-ONボタン)で合焦後、自動的にトラッキングAFが開始される。

ONE SHOT(AF-S)では任意のボタンに「全域トラッキング開始/停止」機能を割り当てておけば、即座にトラッキングAFに切り替えることができる。

 被写体認識AFの検出対象は人物と動物、乗り物から選べるが、全ての対象被写体を自動で検出することもできる。

被写体認識の設定画面。通常は被写体を問わず検出してくれる「自動」にしておけばいいだろう。

近所で見かけたネコ。横顔でもしっかり瞳を認識していた。使用レンズ「RF100-400mm F5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/100秒・ISO800。(以下作例で共通の設定・ホワイトバランス オート・ピクチャースタイル オート・オートライティングオプティマイザ 標準)

都心の上空を飛ぶ飛行機。途中で手前の木の枝と被ったが、それでも機体を認識し続けてくれた。使用レンズ「RF100-400mm F5.6-8」・絞りF9・シャッタースピード1/1000秒・ISO640。

 連写速度は電子先幕シャッターでは最高秒6コマと「RP」の秒5コマと大差はないが、電子シャッターでは最高秒40コマと格段に向上している。

 試しに被写体認識と秒40コマの高速連写で飛び回る鳥を撮影してみたが、検出が素早く一度認識すると粘り強く追随してくれて、「R6 MarkⅡ」と比べても遜色の無いAF性能だ。別の被写体が重なったときなどに一時ロストすることもあったが、その後再度検出しピントを合わせてくれたのはお見事である。

秒40コマ、被写体認識AFで撮影した写真からGIFアニメを制作。ピントが途中でロストしたが、その後に再検出しているのに注目。使用レンズ「RF100-400mm F5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/2000秒・ISO1600。

こちらも秒40コマ、被写体認識AFで撮影。拡大してみてもピントはバッチリ。使用レンズ「RF100-400mm F5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/4000秒・ISO1600。

 プリ撮影が可能な「RAWバーストモード」も搭載。秒30コマの連写で0.5秒前までさかのぼって記録することができ、鳥が飛び立つ瞬間なども簡単に撮影することができる。

「RAWバーストモード」で撮影した写真の再生画面。下部のバーの中央がシャッターを押した瞬間(写真上)。プリ撮影ならその0.5秒前から記録されている(写真下)。

 電子シャッターは積層型撮像素子ではないので、動きの速い被写体では歪みが発生するが、これも「R6 MarkⅡ」と同様に比較的歪みは少なく感じられた。

電子先幕シャッター(写真上)と電子シャッター(写真下)の動体歪みの比較。使用レンズ「RF100-400mm F5.6-8」・絞りF7.1・シャッタースピード1/1600秒・ISO1600。

 なおメカシャッターは電子先幕のみで、その際のシャッタースピード上限は1/4000秒と「RP」と変わらないが、電子シャッターでは最高1/16000秒(撮影モードがTv/Mの時のみ、他のモードでは1/8000秒が上限)まで可能になった。屋外で大口径単焦点レンズを使いたいときなどに有効だ。

 「R8」と同時に発表されたレンズキットの「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」は沈胴式で、ボディーに装着したときの収納時全長は約58mm、重量も約210gとコンパクト。レンズ光学補正により広角側でも歪みなく、絞り開放でも周辺光量低下は見られない。ズーム倍率や開放F値は控えめだが、小型軽量ボディーの「R8」との相性は抜群だ。

「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」を装着した状態。沈胴式なので収納時はコンパクト、カバンからの出し入れも楽々。

「RF24-50mm F4.5-6.3」の広角側、絞り開放で撮影。歪みや周辺光量低下も目立たず整った写り。絞りF4.5・シャッタースピード1/800秒・ISO100。

「RF24-50mm F4.5-6.3」の望遠側、絞り開放で撮影。最短撮影距離35㎝(倍率0.19倍)なので、それなりにアップで撮れる。絞りF6.3・シャッタースピード1/200秒・ISO400。

「RF24-50mm F4.5-6.3」を逆光で撮影。ゴーストやフレアはあるが、効果的に活かせれば面白そう。絞りF16・シャッタースピード1/60秒・ISO100。

ボディ内手ブレ補正はなし
描画性能はさすがEOSクオリティ

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