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アスキー腕時計人気ブランド図鑑 第4回

絶対に後悔しない腕時計選びのために──名門時計ブランド・その魅力と定番モデル

グランドセイコー 機械式の味わいとクオーツの高精度を兼ね備える腕時計

2018年11月09日 17時00分更新

文● 渋谷ヤスヒト

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世界が認める日本の名門時計ブランド、グランドセイコー。前回はクオーツ腕時計のパイオニアとして、その理想を追求したクオーツモデルを紹介しました。第4回となる今回は、世界最先端の機械式とクオーツ、2つの技術が融合して生まれた、世界で唯一無二「機械式の味わいとクオーツの高精度」を兼ね備えたスプリングドライブ・ムーブメントを搭載した定番モデルを紹介します。

グランドセイコー・スプリングドライブモデルのムーブメント「キャリバー9R65」を分解して並べたところ。基本的な構造は機械式であることがわかる。

ヒストリー:求めるのは「持つ喜び」「観る楽しみ」

 クオーツ腕時計が世界を席巻した1970年代後半の、腕時計について書かれた本を読んでいると「機械式の腕時計は終わった」と結論付けた記事や文章をよく見かけます。しかし実際には終わるどころか、1980年代から機械式時計は復活・再興し、1990年代には世界的な機械式時計ブームが起こり、それは今も続いています。

 なぜ機械式腕時計はブームになったのでしょうか。その最大の理由は腕時計が単なる「時を知る道具」ではなく、今も昔も、着ける人のステイタス、ライフスタイルなどパーソナリティを表現するアイテムでもあるからです。

 電子回路とモーターでできたクオーツ腕時計は正確ですが、歯車やバネで構成された機械式腕時計にはどうしても敵わないところがあります。それは「観る楽しみ」「持つ喜び」の部分です。

 精密さという点では、たとえばクオーツに使われるICは機械式以上に精密です。しかし基本的に「ブラックボックス」であり、その姿や動きはステップモーターなどごく一部しか見ることはできません。秒針の動きも1秒置きのステップ運針で、機械式のムーブメントのように、時を刻むテンプとヒゲぜんまい、アンクルやガンギ車などが複雑に噛み合って動く歯車輪列の姿を眺めたり、流れる時のようにゆったりとした余韻のある秒針の動きを楽しむことはできないのです。

 またブラックボックスなので、機械式のように部品を取り付ける地板や固定する「受け」、歯車やその歯を面取りして磨き上げるなど「精密機械としての美しさを追求する」部分もごく限られています。つまり美しく飾ることが難しい。

 さらにクオーツには、電池が切れた時点で時計としての機能が完全になくなる、という問題もあります。これも、アウトドアなど交換用の電池が手に入らない状況や場所で使う場合に、機械式がクオーツより好まれる理由です。

機械式とクオーツの長所をひとつに

1999年に発売されたスプリングドライブ・ムーブメント搭載第1号モデル

 精度は高いが、「観る楽しみ」「持つ喜び」で劣るクオーツ腕時計。「観る楽しみ」「持つ喜び」はあるが、原理的に精度の向上は事実上限界に達している機械式腕時計。

 この2つの「良いところ」を一つに組み合わせられないか。そう思いついたのは、世界初のクオーツ腕時計「セイコー クオーツ アストロン SQ35」を開発、クオーツ腕時計の基本特許を確立、公開したセイコーグループ傘下のエプソンのエンジニア、後に同社の事業部長になる故・赤羽好和氏でした。このアイデアは1978年に特許として出願されています。これが今、主に「グランドセイコー」のスプリングドライブモデルの原点です。

 では「クオーツの高精度と機械式の観る楽しみ、持つ喜び」を備えた「スプリングドライブ」とは具体的にどんなムーブメントなのでしょうか。そのためには「機械式ムーブメントとはどんなものか」を理解して頂く必要があります。

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