科学技術振興機構の広報誌「JSTnews」 第119回
【JSTnews8月号掲載】創発的研究支援事業 研究課題「二次元物質の一次元自己集積化を基軸とする無機超分子ポリマー」
構造色で光を自在に操るハイブリッドナノシートを開発
2026年08月24日 12時00分更新
光の波長と同程度の数百nm(ナノ*メートル)の周期的なナノ構造を持つ「フォトニック結晶」は、特定の波長の光を選択的に反射することで「構造色」と呼ばれる色を発現します。厚さがナノメートル・スケールの2次元状物質である機能性ナノシートを用いてフォトニック結晶を構築すれば、さまざまな機能を統合した多機能フォトニック結晶を開発できる可能性がありますが、ナノシートの構造上の課題から、フォトニック結晶を構築可能なナノシートはこれまで数種類に限られていました。
信州大学学術研究院繊維学系の佐野航季准教授らの研究チームは、基盤ナノシートの表面を機能性ナノ粒子で修飾することで、ナノシートの性質を維持したままフォトニック結晶を機能化する方法を確立しました。研究チームは、表面が負に帯電した酸化チタンナノシートに、表面が正に帯電した金ナノ粒子、金ナノロッド、蛍光シリカナノ粒子を徐々に添加し、機能性ハイブリッドナノシートを開発。続いて、得られたナノシート間の距離を数百nmに拡大することで、光の吸収・反射・発光という3つの発色原理を統合した多機能フォトニック結晶を実現しました。さらに、ナノシートを3次元可視化し、フォトニック結晶の光学機能を動的に制御できることを実証しました。
今回の成果は、高度な光機能を示す新規色材・インクや次世代材料の開発に適用できる可能性があります。無機ナノシートの構造と振る舞いを精密解析するための基盤技術としても役立ちそうです。
*ナノは10億分の1
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第118回
TECH
生命がわずかな熱を細胞内で維持する新しい原理を発見 -
第117回
TECH
服にコイルを編み込んで全身無線通信・給電ネットワーク、AR 操作を見据えた指輪型マウスも開発 -
第116回
TECH
3つの球体で自由自在&精密に移動できる、全方向移動プラットフォームで挑む製造現場の変革 -
第115回
TECH
対話型能力診断AIエージェントを開発! 社会実装で人とAIの共進化社会の実現を目指す -
第114回
TECH
パンや酒、チョコづくりにも関わる微生物「酵母」の進化を追求 -
第113回
TECH
希少糖が高血糖を改善、2型糖尿病の予防・治療につながる仕組みを解明 -
第112回
TECH
傷ついた植物が器官を再生させる仕組みを解明、バイオテクノロジーの発展へ期待 -
第111回
TECH
ナノ構造が生み出す微小な力を3次元的に精密計測するマイクロドローンを開発 -
第110回
TECH
高効率に発光&発電が可能な太陽電池発電を開発、発電できる有機ELディスプレイへの応用も -
第109回
TECH
油を溜め込むサプリメント酵母で、ウナギを手頃にもっと美味しく! - この連載の一覧へ








