ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第882回
IBMが0.7nmチップの製造に成功! 変態的CFET構造NanoStackの凄みと、あまりに高すぎる製造コストの壁
2026年06月29日 12時00分更新
前回2026 VLSIシンポジウムの話をスタートしたばかりであるが、6月26日にIBMが突如として0.7nmプロセスでのチップの製造に成功したというリリースを出した。これに先立ちオンラインで事前説明会も行なわれたので、リリースおよび説明会の内容を元に詳細を説明しよう。
製造されたテストチップ。中身は公表されていないが、さまざまなテスト用の回路をまとめて集積したものと思われる。少なくともRing Oscillatorレベルではない。SRAMと思しきブロックもいくつもある(複数種類のSRAMのテストも兼ねているのだろう)
0.7nmチップ製造成功の核
「互い違い」に積むCFET構造、IBMのNanoStackとは?
今回のリリースは、端的に言えば「0.7nmプロセスの技術を利用して、実際にチップを製造することに成功した」という一点に尽きる。元になる構造は、実は2025年のVLSIシンポジウムで発表されている。
連載837回の冒頭でも触れたが、テクニカルセッションの10.2で、"NanoStackTransistor Architecture for CMOS 7A Node and Beyond"という論文を発表しており、今回のチップはここで説明された内容をベースに構築されている。
要するにCFET(Complementary FET:PMOSとNMOSの2つのFETを縦に積む構造)のトランジスタであり、同社はこれをNanoStackと称しているのだが、おもしろいのは普通に縦積みする(Aligned Design)のではなく、互い違いになる(Staggered Design)ように積むことだ。
模式図は下の画像になるのだが、IBMによれば実効チャネル幅(Weff)を最大65%増やせるとしている。
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